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ヨセミテ記3 Day 7-11

Day7 9/19 観光

朝起きると雨が降っていた。森が深く呼吸してるような、雨の静かなヨセミテもまた良い。

今日から別宿へステイするので、引っ越しの準備をしてから観光に出かける。

環境活動家でヨセミテの風景を撮り続けた写真家のアンセル・アダムズのギャラリーでは、100 年近く前のモノクロの力強い写真に目を奪われる。彼のコレクションの他にも、ビッグウォールのトポやヨセミテのクライミング史等の書籍、自然をモチーフにしたアーティストの焼き物など、素敵なものがたくさんで見入ってしまう。Jimmy Chin のアレックス・オノルド展もやっていた。

Visitor Center 隣のヨセミテミュージアムでヨセミテの歴史やネイティブの文化を学び、午後は歴史あるアワニーホテルを訪問。迫力ある岩壁が背後に聳え、巨大な暖炉のあるロビーはネイティブアメリカンのパターンが美しく散りばめられていて、美術館のよう。本当に美しかった。

帰りに El Cap を見ると、雨が上がってポータレッジから出て登ろうとしているクライマーが見えた。本当にすごい。
帰りは Valley から車で 1:40 ほどのオークハーストの近くの宿に移動する。

宿での夕暮れの野外飯

Day8 9/20 Climbing

今日は念願の El Capitan の基部、El Cap Base へ。

アプローチ:メドウズ沿いに駐車、道路と並行に走るトレイルを左へ。広場に出ると、左に南西壁の標識あり。ガレた道を少し登ると Nose の取付のガリーがある。そのまま奥に行くと Salate Wall、さらにその奥に南西壁。

基部に近づくにつれて、ビッグウォールクライマーたちがどんどん大きく見えてくる。すごい…!!
Pine Tree 下の無名ルートでアップ。

・Moby Dick 40m 5.10a ★★★★
さんがリード、ダブルを足して TR にしてくれる。出だしにさんはナッツを決めていた。
悪いフィンガーから始まり、ハンド~フィスト、後半はオフサイズが続き、リービテーションがバチ効き!
このルートで初めて、リービ+ニーでぐいぐい体を上げる楽しさを体験。最後は被りのマントリングで終了。星付きなのが納得、本当に楽しいルートでした。
途中に残置ハーケンが2つあり。60m 1本にロープを足して TR にすると、降りるときにちょうどビレイ器を掛け替えるとこにハーケンがあって有難かった。ロープを足して TR で登る時はビレイが一瞬オフになる時のためにカムを持って登った方がよい。

Moby Dick の隣のルートは「白鯨」つながりの Ahab。
静岡から来たというボルダー男子2人が、「めっちゃ格闘しました!」と言っていた。
ものすごく迫力のあるカッコいいワイドで、いつかこんなルートをリード出来るようになりたい。

この日はショートルートだが El Cap を登れて、本当に感激。何組ビッグウォールクライマーを見たか分からない。
正面に3組、南西壁側にも2組はいた。帰りはレッジに佇むクライマー達を見ながら帰った。
18:30 くらいから、燃えるような夕焼け。

帰りの宿への峠道、遠くに霞む山々に薄紫のグラデーションの空が、Wilderness の雰囲気で何ともいえない。

Day9 9/21 Climbing

・Sunnyside Bench 5.5 3P ★★★
今日はしんめいさんが行きたいという、ヨセミテ滝近くのやさしいマルチへ。
ヨセミテ滝のトレイルを観光客と一緒にてくてく歩き、トレイルから少しだけ入ったところが取り付き。

1P 目、緩い傾斜の岩を登って2本目の木で切り、2P 目は右棚に移って正面のクラックを登る。
さんが間違えて左のクラックに行ったら、その先が無く、ボルトのある別ルートも見えたそう。
3P 目はスラブを越えると終了、立木で切る。やさしくて初めてのマルチの練習にもぴったりなルート。

上まで抜けた後は、「滝の落ち口を見に行こうよ」とさん。
終了点から踏み跡を左に、途中から右手奥に行くと、落差 739m の滝の中間部の上に出る。

トポによると、猛者はこの上下の滝の間の「プール」で水量が少ない間、泳ぎを楽しむとあったが、見下ろすとプールまでは長い時間をかけて削られたすり鉢状になっていて、吸い込まれそうで足がすくむ。
秋なので滝の水量はだいぶ少なかったが、雪解けの大瀑布もいつか見てみたい。

Day10 9/22 Climbing

Glacier Point

最終日は、ヨセミテで出会った方に絶対行った方がいい!と超おススメいただいた、グレーシャーポイントの Grack へ。

・Grack Center 5.6 3P ★★★★
アプローチ:カリービレッジ奥のヨセミテバレートレイルヘッド駐車場の南東奥の歩道をしばらく行くと、三角屋根の小屋が出てくる。さらに奥へ進み、右手の壁に向かう踏み跡を行く。岩場に着いたら左へ。

三角小屋からすぐを岩場方面へ進んでしまったら、取付の岩がどうも分からずにいるとアメリカ人ペアが来たので場所を聞くと、もっとずっと奥だよ!超快適なルートだよ!と教えてくれる。助かった。
さんは旅の疲れもあってか、暑さにやられて見学すると言うので、しんめいさんと2人で Grack Center を登った。白壁にきれいにクラックが走るパートをリードしたかったので、しんめいさん 1P 目リード。

1P 40m
やさしいクラックを直上し、少し被った岩を右から乗上がったとこで切る。ここも途中、本当によく滑るパートがあった。

2P 30m
きれいなハンドの始まり!傾斜が緩いので落ちる心配も無く、手足もバッチリ決まる。こんなルートで練習したら、絶対みんなクラックが好きなる筈。クラックに慣れるルートとして最高。
トポで「プロはこの2つのクラックで切る」とあったので、ダブルクラックが出てきて足場があるところで初めてカムのみで支点構築(0.3, 0.4, 0.5)。ここから終了点までは 60m ロープでぴったりだった。

3P 60m
フィンガーで快適に高度を上げる。足は滑るけど、手がよく効くので不安無く登れる。長くて楽しい。チェーン3本の終了点で終了。
12 時過ぎに登り始めた時は死ぬほど暑かったが、14 時くらいから日が翳って最高だった。
下りの懸垂点は4個あり、60m ダブルだったので2回の懸垂で降りた。

このルートは本当に楽しくて最高だった!
日が翳ってからはそれを待っていたように後続がやってきて、1組は同時登攀していた。
ここの取付では、ビレイしているとバチバチバチ..と音がして何の音だろう..? と思っていると、なんと小さなハミングバードの羽音だった。登る間、しばらくまわりを飛び回ってついて来て、とってもかわいかった。

駐車場に戻って帰る準備をしていると、リスが車のまわりをくるくる回って、食べ物を探してる。なんとドアを開けた車の中にも飛び上がってエサをねだって来た!そんなつぶらな瞳で見つめられると、つい魔が差してしまいそうに.. 危ない危ない- -;
Housekeeping Camp でもかわいいお掃除係が毎日足元でお仕事していたなあ。
滞在中はリス、キツネ、鹿、ブルージェイに会えたけど、熊には会えなかった。また春に来たい。(ヨセミテのブラックベアは植物と死んだ動物しか食べない)

この日は最後のヨセミテ日、もうここに来ないんだと思うと、もう懐かしくて胸が締めつけられる。
ヨセミテロッジのレストランに寄ると、壁には Nose のフリー初登者リン・ヒルや、クライミング史のパネルが掲示されている。美味しいメキシカンミールを食べて、最後の夕陽を見ながら帰路に就いた。

Day11 9/23 帰国

帰国後もしばらくロスがひどく茫然としてしまうほど、ヨセミテは本当に天国のようなところだった。
壮大な岩壁と深い森、自然を愛する人たちの空気、アメリカの開放的なエネルギー、全てが素晴らしく、1日1日が忘れられない最高の旅でした。
可能性を開いてくれたごろちゃんと、ご一緒してくれた仲間に心から感謝です。
もっと力をつけて、必ずまた訪れたい場所です。

[メンバー] 純(L)、tam、しんめい、ふじ、mimi
[山行日] 2025.09.14(日) – 09.23(火)

written by:mimi
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会員は相模原・厚木エリアを中心に、
町田、横浜、大和、座間、海老名、八王子に在住し、
様々な登山ジャンルで活動している地域山岳会です。

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