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入会について

黒部川 上ノ廊下~奥ノ廊下

夏休みを1日前倒しして扇沢へ向かう
この1日が後に重要だったことに気付くのは下山してからだった。

8/10

電気バスになってから何度目だろう結構乗っている。
チケット列の前の人は沢靴を履いている。
聞くと地元の釣り師で奥黒部ヒュッテまでは一緒だが目的地は東沢谷とのこと
いろんな話をしていると今年は雪が多くて水量多いとの残念情報↓
とりあえずは行って見ないとわからんちゅう感じでスタート!
平ノ小屋までは遊歩道でラクラク歩きかと思ってたら案外アップダウンあり、思ったより山歩きでした。

[平ノ渡場]

今日は奥黒部ヒュッテまでなので 12 時便に乗ればよいので慌てず体力温存。
以前買った安物アプローチシューズが長時間歩くと靴擦れになってきた。
河原に降りようか悩みつつ奥黒部ヒュッテに到着。

[黒部ダムと川の境目]

テントとタープを張り前祝いでビールを飲みながら色んな人とオシャベリタイム
小屋番さんに計画書を渡して話をすると東沢谷は増水だが上ノ廊下は少ないほうだとのことでモチベーションアップ↑
朝の釣り師は早速イワナを釣ってきた。夕方にチャレンジするも自分は釣れず・・・

[ヘタクソナオレ]

明日に備えて早めの就寝

8/11

快晴の中、入渓。

[幅の広い川を朝一から何度も徒渉]

暫く歩くと3人パーティーがいる。ちょっとしたヘツリで難儀している感じ。
挨拶して抜いていくと2人パーティーがいた。
大岩をボルダーで越えているので徒渉を避けてるように思えた。
自分らは徒渉し対岸から抜いていった。
UTi さんの流れを利用した徒渉が上手い!
見よう見まねで要領を得てきた。パワーで渡るばかりではないのだなと!

[流され徒渉]

突如黒いデカい壁が現れる下ノ黒ビンガだ。
圧倒的な逆層の黒い断崖に圧倒される。

[下ノ黒ビンガ]

程なくして最初の核心部、口元ノタルへ到着

[口元ノタル]

淵を泳いで突破したかったが思った以上に流れが強く危険と判断
(後に調べると流量が多い場合には淵の窪みに吸い込まれロープあっても出てこれない場合があるとのことだったので、巻きが正解だったのかと思う)
高巻きに移ろうとするが良さげなルートも踏み跡も見つからず。
もう一度泳ぎを考えるも1時間前と水量が変わっていることに気付く
本流なので昨晩の雨の影響で増水したのだろう。
UTi さんがここしかないだろう場所に空身で登ると薄い踏み跡発見!
かなり悪い高巻きでここで失敗してる人もいる。
対岸を見ると2人パーティーが対岸のボロルンゼに取り付いてハーケン連打している。
登った先も抜けれる感じはしない。
彼らにはルートが見えているのだろうか、余計な口出しは無用かなと・・・
高巻きはルート探しを含めて3時間経過していた。
見事な渓谷美を眺める →河原歩きでホっとする →淵が出てきてドキワク! の繰り返し。

[飛び込み全力クロール徒渉]

少し早めだがよい物件を見つけたので、タープを張りウェアを乾かす。
釣りをしてみるもやはり釣れず。焚き火と宴を楽しみ就寝。

[タープが快適]

8/12

朝起きると、水量が減っている。
雨が降る前に淵を抜けたいので早めに出発
上ノ黒ビンガには雪の壁や滝があり。荘厳な景色を堪能。

[上ノ黒ビンガと残雪]

徒渉の回数を減らせるように先の先を予想しながら歩くのも楽しい。
自分と違う UTi さんの先見も、なるほど!と得るものが多い。
行ってみて、なんとかしちゃう能力も重要である。

[数多のステキな滝]

左岸に大きな谷が現れる。水温が低く感じたのは金作谷には出合い近くまでまだ雪渓が繋がっていた為だ。

[雪渓の金作谷]

ものすごく透き通っているのに底が見えない淵の威圧感、表面上ユッタリの水流に見えるが泳ぐとものすごく分厚い水流の塊に押し流される感覚。

[深淵の緩い流れをヘツル]

[赤牛沢]

クライミング要素のある滝はなく、渓相も変わりこのまま平和に薬師沢小屋に着くかと思っていると、案外難所は現れる。
石灰岩のツルツルした淵は第二核心でした。
・強い水流で川幅は 5m 程度
・対岸にホールドは見当たらない
・流されたら段差の渦に巻き込まれそう
・上流に足場はなくロープの支点も見当たらない
・下流は大岩が邪魔している
自分は悩みに悩んで全力クロールで抜けれるイメージを作っているが固まらない。
すると UTi さんが一応肩絡みして~と言い、水掻きグローブを着けあっさりと行きまーす! と飛び込んだ!
対岸に着いたがホールドがなく少し流される。
段差に落ちる前に引っ張るか? 引っ張ってホールド摑めなくするのもダメ! もんのすごい葛藤
そして段差に落ちる寸前に何かを掴んだ! 自分は yeah!! と叫んでいた。
しかし UTi さんが一瞬ヤバ! って顔したのは見逃さなかった www

[対岸から手前に泳いだ]

[岩苔小谷 岩苔乗越へと続く]

立石奇岩が現れる、いつ崩れてもおかしく無いピナクル 20m ぐらいはあるだろう、流石にこれを登るクライマーはいないだろう脆さ感。

[立石奇岩 この上には高天原温泉の楽園]

この後もあれこれこなしつつ大東新道と合流し薬師沢小屋へ到着。

小屋オススメの2リットルのジョッキビールで乾杯をした。

赤木沢の拠点でもあるので沢屋はいるが、なぜ下流からスクラム徒渉で現れたん!?
周りの質問攻めに合い、上ノ廊下ッス! と満足げに答える。
薬師沢小屋番さんに廊下と金作谷雪渓の状況を聞かれて、今季のトップ抜けとのこと。
テラスの人達とワイワイしていると暗くなってきた。
小屋の人は、泊まっていくわよね~~まさかね~~と語尾を延ばされた。う、う~~んとこっちも延ばすw
小屋近辺での沢泊まりは推奨できないが、気付いたらいなかったのよ~と言っとくね、と言いながら薬師岳ブレンドのコーヒーをくれた。
赤木沢で今度泊まりに来ます!! そして暗闇の梯子を降り再入渓。

8/13

夜半の雨で焚き火はできずだったが増水も収まり、予報は外れて晴天となった。
昨日テラスで話した人達と再会し彼らは赤木沢へと向かった。
ゆっくり準備し自分らは奥ノ廊下を詰める。

[兔平 左が黒部源流、右が赤木沢]

ひたすら河原歩きで景色は変わらず。途中でタープやウェットスーツを干しながら淡々と遡行。
鷲羽岳がやっと見えて、一般道に合流した。

[鷲羽岳]

去年も見たのに黒部源流の碑は見逃してしまった。
戻るのもダルいので源頭に向かう。
岩苔乗越手前でチョロチョロ出ていたので、ここが源頭! として一口飲んだ。

[黒部源頭]

水晶小屋へ到着もちろん予約などしていない、満室だが食堂で寝させてもらえることとなり泊めさせてもらった。
4日ぶりのまともな食事、ビールが全く飲めなくなるほどカレーを食べてしまった。
1杯目で周りの人がどんだけ食うねん! って顔してたが、更におかわりまでキメたった✌w

8/14

初日の靴擦れが悪化しアプローチシューズを履きたくないので、もったいないが沢足袋で下山。
途中風が強くなり体がもっていかれるほど、3000m の稜線は流石に寒い。

[朝焼けの裏銀座]

全て巻道を歩き PH はどうでもよかったが野口五郎岳は目の前だったので、5日間で唯一の山頂を踏み、野口五郎小屋へ吸い込まれた。

[野口五郎岳]

休憩利用しているとおにぎりをたくさん持った人が入って来たので、買ってくれと言うのかと思ったら、食ってくれというのでありがたく頂いた。
烏帽子小屋で休憩しブナ立尾根を下る。途中、流行りスタイルの若者が数人、狭いとこで休憩してたので、避けながら降りるとクスクス笑い声が聞こえた。
多分俺らめっちゃ臭いんだろな~、5日間風呂入ってないのと沢のザリガニっぽい臭さ
まあそんなことは山あるあるなので、逆に誇らしげに思った。
無事に高瀬ダムまで降り、タクシーにて扇沢へそして温泉でさっぱり。
大町の名物トンカツを食べようとするも閉店しており彷徨っていると、上ノ廊下で事故とのメールが入っていた。
あの2人パーティーだ! 懸垂でハーケンが抜け手首骨折でヘリ搬送となっていた。
骨折程度でホっとした。
もし1日遅く入渓していたら放ってはおけないだろう、遡行するテンションも落ちてしまったであろうと考えると、よいタイミングだった。
そして帰路に見つけたトンカツ屋で大冒険が無事に終わったなと感慨に浸りました。

[メンバー] UTi、ton
[山行日] 2022.08.10(水) – 08.14(日)

written by:ton
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会員は相模原・厚木エリアを中心に、
町田、横浜、大和、座間、海老名、八王子に在住し、
様々な登山ジャンルで活動している地域山岳会です。

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