飛騨尾根 ジャンダルム 奥穂高岳
12 年前、妻と中学生の息子と奥穂高岳に登った時、クライマーしか登れないジャンダルムという山を見た。
5年前に西穂高岳からジャンダルムを経由し槍ヶ岳に2日間で縦走し満足した。
UTi さんに「ゴールデンウィークに飛騨尾根どうですか?」と誘われたので調べてみるとジャンダルムが出て来る。
ジャンダルムに登る他のルートなんて有るとは思えない・・・そして日本最高高度アルパイン・・・。
かなり険しそうなので、まずは荷物の軽量化とコンパクト化の為、ギアを精査する。
35L のザックにギア、カム、ロープ、アイゼン、シュラフ、マット、3泊+非常食、コンロ、冬装備、スコップ、スノーソー、その他の全てを詰め込む。
1日目 雨
テン場の天狗沢出合に9時前に到着し、時間がたっぷり有る。昼過ぎには夕食を済ませて、のんびり過ごし、翌日に備えて早く寝る。
天狗沢出合
2日目 晴れ
沢沿いからD尾根に上がりぐんぐん高度を上げる。
飛騨尾根を目指して
何処から飛騨尾根に乗れるかが鍵だ。
1日目に後から来たパーティーは先行していたが、D尾根のまま登ってしまい、途中で行き詰まり降りて行った。
我々は途中のルンゼをトラバースし確実に飛騨尾根に乗ったが、下の方は所々雪が落ちてハイマツ藪漕ぎ地獄。
そしてやっと岩場になる。
天気が良いので岩が乾いてとても登りやすい。
飛騨尾根1
必要に応じて2か所ロープを出してどんどん高度を上げていく。
途中、ブーツの先端のコバが割れ、アイゼンが外れそうになったが、UTi さんのアイディアで 60cm スリングを使い固定。
飛騨尾根2
事故が有り県警のヘリコプターが飛んでいる。
風がかなり強くなってきたが、15:50 ジャンダルムに到着。
穂高岳山荘、槍ヶ岳
ジャンダルム
天候が悪化してきたので今日は先へ進まず、この基部の岩陰に幕営する事に予定を変更。
テント内で水を作り、食事を済ませ、ブーツの割れた先端を瞬間接着剤でリペアする。
すっかりガスに包まれ、夜は風雪が強くなった。
3日目 強風、ガス
3時半に起きると完全に冬の様相となっている。
テントは雪が積もり凍り付いている。
ジャンダルム基部
あまり天候が回復しないので、明るくなってから出発したが、ガスが濃く何も見えないし、どの方向へ行けば良いのわからない・・・。
迷いながらも少しづつ確実に進む。
ジャンダルム下降
GPS を見て現在位置を確認し方向は分かっても、5m 先も見えないので本当に進んで良いのかも判らない。
ロバの耳
懸垂下降でロープを下ろしても風でも流されて、離れた岩に引っかかるので時間がかかる。
ガスが濃く、ナイフリッジでも高度感が殆ど無いが強風であおられる・・・
少しロープを伸ばしただけでも UTi さんの姿は見えないし声も聞こえない。
いったいどの辺りにいるのだろうか???
馬の背
苦戦しながらも気が付くと奥穂高岳山頂に着いた!
やった抜けた!!
奥穂高岳
エビの尻尾が風雪を物語っている。
そして相変わらず濃いガスに包まれ、迷いながらも穂高岳山荘に到着!
ただでさえ難しいルートなのに、強風と濃いガスの為、更にグレードが上がり、安堵と達成感で感動し、UTi さんとハグした。
少し経つと一時的にガスが晴れ、奥穂高岳が見えた。
下山ルートは涸沢岳経由の予定だったが、白出沢経由に変更して下山。
穂高岳山荘裏から白出沢下降開始
かなり急でガレているので歩きにくいが、途中から雪がタップリ有るので、雪崩や落石に警戒しながら過去最長距離の尻セードを楽しみながら下山。
パンツまで浸みてきた・・・。
白出沢尻セード下降
下界は暖かく、傾斜が緩くなると、雪の踏み抜き地獄&沢歩き&藪漕ぎで林道迄帰ってきた。
なんと穂高岳山荘から林道までの下山はたったの3時間!
尻セードのおかげで膝も痛くないし・・・
ひらゆの森でおいしい食事と温泉に入り一気に帰宅した。ココオススメデス!
予報通りの悪天候の中、素早いルーファイが出来なければ抜けられないと思う。
非常に良い経験が出来た。
冬期アルパイン最高!
[メンバー] UTi(L)、もん
[山行日] 2025.05.02(金) – 05.04(日)
[コースタイム]
5/2:新穂高温泉駐車場[4:40]~天狗沢出合手前[8:40](泊)
5/3:天場[5:30]~飛騨尾根末端部[9:30]~ジャンダルム[15:30]~ジャンダルム南西側平坦部[15:50](泊)
5/4:天場[6:40]~奥穂高岳[10:10]~穂高岳山荘~白出沢登山道~新穂高温泉駐車場[16:20]