東北の沢 葛根田川~関東沢下降~
大深沢~北ノ又沢~松川温泉 2020.9.19~22
会の先輩から何度となく誘われていた葛根田川遡行。日程合わず何度も断っていたところである。何年か前にその先輩はこのコースを遡行してしまった。その先輩も会を退会してしまい行くチャンスがなくなってしまったかと思いきや今年何度となく沢に一緒に行ったリーダー(ケンタさん)に葛根田に行きたいという話を何気なく話したことがあって、9月の連休はどこに行こうか思案中のところケンタさんより葛根田の誘いの話があり行くことにした。
ケンタさんも去年行ったのだが途中でエスケープしてしまい、完全遡行に至らず不完全燃焼ということで付き合ってもらえることになった。
バス・旅館の手配もしていただきリーダーケンタさんには感謝である。
池袋発~盛岡駅行きの夜行バスに乗り一人で車中くらい中ビールを飲んで就寝。あまり寝られなかったが無事盛岡駅に到着し、駅中で朝食をすます。タクシーで葛根田地熱発電所手前の滝ノ上園地休憩舎で降ろしてもらう。休憩舎には5人ほどのパーティが前泊で宴を催していたようであった。私は着替えのためにすぐにトイレに駆け込んでしまったので、そのパーティとはほとんど顔も見ず話しもしなかったがケンタリーダーは準備をしながら話をしていたようであった。そのパーティには著名人のT氏もいたという。
(葛根田地熱発電所)
準備を済ませ出発するが、地熱発電所を通り抜ける林道では5人パーティに先行されたが入渓では我々は堰堤の先から入渓したのでそこから先行することになった。
(入渓地付近)
抜かれはしなかったが追いつかれることもあった。渡渉では深いとこも多く腿くらいまで浸かることもしばしば。途中釣師が一人。先行パーティが何人か入ったとの情報を得る。程なくすると枝沢から流れてくる滝が現れ楽しませてくれる。水流が強いところはスクラム組んでの渡渉もあった。
(お函)
有名なお函は端の方は良いが中央は深く踏み外さないように注意して遡行する。なかなか見応えがある景色であった。12:30 頃大石沢の出合に到着。ケンタリーダーは前回ここから乳頭山にエスケープしたのでここからが私にとっても未知の世界。丁度出合の所にザックがデポってあり先ほどの釣り師が言っていた先行パーティのものであろう。人影見えず我々は先に進み途中でザックの持ち主たちとすれ違う。この先あたりからナメ床が現れ癒しの沢に変わってくる。中ノ又沢を過ぎると大滝が現れ右側から高巻きをするロープがあるがテンションは懸けない方が良いだろう。
滝ノ又沢までにはまだまだ先が長くとてもではないがそこまで行くには時間がかかるのでその手前で幕営することにした。テントを張り焚火用の枝を集めるが煙は出るが火が点かず。挙句の果てには雨が降り出し衣類が乾かないままテントに潜り込みガスでテントを暖かくするが思ったほど乾かずじまい。前日はバス車中泊であったので早々に就寝。
2日目
出発して 15 分ほどで幕営適地がかなりの広さと整地されているようなところもあった。しかしながら、昨日ここまで来ることは出来ただろうが 20~30 分はかかってしまうのではないかと思うペースだったので昨日の所で十分であったと思う。
滝ノ又沢出合を過ぎると小滝を越えていく。暫くしていくとナメが現れ歩きやすい。
(950m 付近のナメ)
水量もだいぶ少なくなってくるが、1020m 付近の二俣で大滝が現れ右岸から高巻きをする。足元悪く荷物も重いのでリーダーにお助け紐を出してもらい悪そうなところをクリアしていく。
(右岸から高巻きします)
高巻きを終え滝の上から覗くも下までは見ることは出来ず危ないのでそれ以上はやめる。その先にも大滝現れ足元が良く無いようでロープを出してもらう。
(私はロープを出してもらって空身で直上しました)
ザックを背負ったままではバランスが良くないというので、ザックだけ先に荷揚げをしてもらう。かなりのアルバイトを強いられたようであった。1085m 付近から藪漕ぎ突入し 15
(藪漕ぎ突入)
分ほどで登山道に出る。それほど藪が深くなかったので最短で抜けられたと思う。
(湿原に出ました)
(八瀬森山荘)
八瀬森山荘には誰もおらず、二階建てでなかなかの小屋であった。しばし休憩したのち
(湿原から関東沢出合に向かって下降します)
一旦湿原の方に戻り進路を変え関東沢出合に向かって下降しナメが多く楽しませていただきながら下降して行く。
(1020m 付近下降中)
思った以上に途中からペースが落ちてしまい、十字峡までは時間的に厳しいという判断になり、関東沢と大深沢の出合で幕営することとなった。この日はだれ一人会うことなく奥深い沢遡行を楽しむことができた。
(沢泊の焚火久しぶりです)
今日は早めに着いたのでテントを張り焚火の薪拾いをして今度はやっとの思いで火が点いてくれた。暖かく気持ちが良い。久しぶりの沢泊の焚火である。焚火を囲みながら一杯。つまみと食事を済ませ 19 時ころには就寝する。
3日目
出発して 40 分ほどで 7m 滝が現れ向かって右側にロープが垂れ下がっているが心許ないがあまりテンション掛けず途中まで登りその先はリーダーにお助け紐で確保してもう。
(左岸にロープが下がっています)
その先に待っていたのが今回の遡行のメインイベントのナイアガラの滝である。
(ナイアガラの滝)
直で見ると何とも迫力のある滝である。少々水量は多いように感じられる。左端の方から登ることができ途中ロープはあるがその先がフリーで登ろうかロープ出してもらおうか立ち往生していたが何とか登れそうなところを探して何とか登れることができました。ヤッケを着ていたのだが、袖から水が入り込み体に伝わって冷たかった。越えて暫し休んでいると体が震えだしかなり低体温症の症状に近かったが、歩き出してしばらくしたら回復して事なき得ました。ナイアガラの滝は下から見ても上からのぞいても迫力のある見応えある滝であった。
(ナメ床が続きます)
ここからしばらくは癒しのナメ床歩き、先ほどまでの緊張もほぐれてきます。
左からの仮(け)戸沢を見過ごすが右側からの東ノ又沢は確認することができ現在地を確認する。十字峡から 30 分ほどで 6m 滝が現れ左端の方から登っていきます。リーダー曰く足元がぬめるとのことで所どころでたわしを使って登っていきました。
幅広の 4m 滝を水流の無い真ん中あたりを中央突破して登っていきます。
(幅広の 4m 滝)
この先もナメが続き快適に歩いていきます。1250m 付近から 70~80m ほどは多段?小滝の連続?表現できませんがこれでもかというくらい登っていき
(どこまでも続く連続の小滝)
最後は2条 5m の滝を登り、水流も少なくなりいよいよ詰めの藪漕ぎに突入。
(2条 5m 滝)
磁石で東方面にセットして進んでいくも南の方に流されてしまう。時折軌道修正しても蛇行してしまい、藪が濃いので先頭のリーダーとはぐれそうになる。その時ガサガサする音がすればそちらの方に進み、音がしなくなった場合は声をかけて居場所を確認したりしました。1時間 30~40 分ほどかかりようやく登山道に出て数分で大深山荘に到着。
(大深山荘)
先客の単独女性一人泊りのようである。ここで沢装備を解除し沢装備をザックにしまうが濡れた沢靴やハーネスなどが重くかなり堪える。暫くは上りが続き足取り遅くなる。登山道も足場が悪く滑りやすく歩きにくい。
(登山道を下山していきます)
途中でポールに変わる枝を探し多少は負担が減るが2回ほど足を滑らせコケる。予定時間よりだいぶ時間は過ぎてしまったが無事予約していた旅館に到着ができて何よりであった。取り敢えず無事に遡行を終えたことにホッとした。
(宿泊した松川荘)
温泉入ったあとはビールで乾杯をして食事をすます。リーダーはかなりお疲れのようで早々に就寝してしまう。
2泊3日の沢山行久しぶりで大変であったがとても楽しく行った甲斐のある山行であった。
[メンバー] ケンタ(L)、みず
[山行日] 2020.09.19(土) – 09.21(月)