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女子アルパイン Vol.3
北岳バットレス

私は2年前に初めて行って以来、2度目の北岳バットレス。その時は簡単なピッチしかリードが出来ず、自分の力でまた行きたいと思っていた。
女子アルパインの4人ではバットレスに向けて毎月マルチやロープワークの練習に励んだ。
私は4人の中で一番経験と技術が無かったので、外岩を登り込む機会をつくっては色んな課題に取り組んだ。
皆が一番心配だったのは長時間のアルパインをこなす体力。体力づくりのために毎日走り、山も歩いた。

今回は梅雨明けを狙って、小屋が予約のとれた平日に山行を設定。直前まで天気図とにらめっこ、お天気は入山日は一時雨、アタック日は晴れ曇りの予報だった。
当日、佐和ちゃんがこの日のために運転を練習してくれたピカピカの新車に乗って、芦安へ。みほさんと合流して、広河原行きのバスに乗る。
バスに揺られて1時間、広河原で登山届を提出。よほどアルパイン組に見えなかったのか、「え! バットレス行くの..?!」と驚かれ、担当の方が色々とアドバイスをくれる。

吊り橋を渡って、白根御池小屋まで2時間強の登り。
緑が眩しい北岳は涼やかな風が吹いて猛暑でバテた体が癒される。
予報は降水量1ミリだったが途中、中々の雨が降り、傘を差して登る。雨が上がると森は霧に包まれた。
皆でおしゃべりしてるとあっという間に小屋が見え、乾燥室に濡れたウェアを放り込んで酒盛り休憩。
到着後は翌日の下見をする予定だったが、戻りが夕食に間に合わなさそうなのでスキップする。
生姜焼きと野菜たっぷりの美味しい夕食をいただいて、お弁当を受け取って早々に就寝。

翌日は2時起床、2:30 に出発。
夜明け前発の山行ってほんと久しぶりだなあ。暗い森の向こうに細い三日月が金色に輝いて本当にきれい。
何故か我々は小屋を出てすぐの分岐を北岳方面にワシワシまっすぐ進んでしまった。
30 分ほど、いい感じの傾斜を登った頃、(..あれ? 前回沢沿いを進んだのにこんなに登ったっけ?)と思いナビを見ると、下山路を進んでる!!
慌てて撤回、小屋近くまで猛スピードで戻って仕切り直し、1時間のロス。痛かったけど予定より 30 分早く出たから、30 分ロスとすることにする。
大樺沢の二股を過ぎ、C沢とD沢の間の踏み跡を無事見つけて5尾根支稜へ。
道間違いで時間がかかったおかげで空が明るんできたので、分岐を間違えずに無事バットレスへ続く尾根に乗れた。

病み上がり&高山病のメンバーもいてペースはゆっくりめだが、そんな状態なのに、「気持ち悪い」と言いながら全然めげない強さが本当に尊敬する。
前日の雨と夜露で藪がかなり濡れていて、先頭で露払いをした私は靴とズボンの中までびしょ濡れになって(レイン履くべきだった)支稜取り付きに着いた。

ここでひと息つき、支稜を登る。アプローチシューズで登る人も多いようだが、逆層で滑ると嫌なのでクライミングシューズに履き替えたら快適。
横断バンドまでは、私とふじちゃんは左のルンゼを、佐和ちゃんみほさんは右のつるっとした方から登った。ルンゼにはピトンが最初に1本あり、念のためカムでも途中に支点を取った。

ルンゼを登ると立派な終了点がある。横断バンドはやさしいけど落ちたらアウトなのでロープを引いて渡った。途中にもピトン、支点もあり、林に入るとすぐにCガリーにぶつかる。ガレたガリーの右岸を登ってヒドンスラブを経て4尾根取付きへ。前回はCガリーまで行かずに直上したら、薮だけどとても近道だったからそちらだと早かった。

最初は晴れて景色が見えていたが、この頃にはガスに包まれて眺望はゼロ笑
ここまでが長かった~ やっと4尾根スタート。

つるっとしたクラックはふじちゃんは楽々リードしていたが、私は苦手だった。
階段状の岩場、白い岩のクラック、フェイス~リッジと快適に登り、ハーケンベタ打ちの三角形の垂壁とリッジを経て、マッチ箱の懸垂支点へ。前回はこの辺から雨に降られたなあ。

15m ほどの懸垂の後、右のコーナー〜カンテ上のクラックは、今迄豊富にあったハーケンが急に少なくなって、アレ? 滑りそうだし何かやだなぁと思いながら、ホールドを探しつつ慎重に上った。ここがリードは一番怖かった。(後続のみほさんも、佐和ちゃんに「ここやだ」とトランシーバーで訴えながらもスイスイ登っていた→言いたかっただけなんね笑)
枯れ木テラス下のルンゼの手前で切ってふじちゃんをビレイしていると、真っ白だった岩が一瞬ぶわーっと晴れてマッチ箱にいる佐和ちゃんたちが遠景に映える。これぞバットレス!..な写真を収めてにっこり。

枯れ木テラスからナイフリッジは、怖いけど今回は濡れてないので快適。
城塞ハングには残置カムが2つ。ここを登るためにハング練習をがんばってきたが上手く登れず、A0 で抜けた。空身で登り、ザックを引き上げようとしたがチムニーにひっかかってしまうので、ふじちゃんに所々押し上げながら登ってもらってやっと引き上げた。
ひと息ついて山頂へのお花畑をルンルンで登る。・・しかしなんだか足が上がらない。(後であまり食べてなかったのでシャリバテだったと気づく。長いこと長い山歩きをやってないからシャリバテって忘れた!)

山頂で無事の登頂を祝い、下山開始。
膝が心配なメンバーもいて短い休憩を入れつつ、ひたすら下る、、テント場が見えた時は嬉しかった。
遅くなったが暗くなる前に下山できてよかった。
小屋へ戻ると外にスタッフの方が待っていて、無事で良かった! おめでとうございます、と言ってくれた。
なんとこの方は前日、広河原のインフォメーションセンターで心配してくれた方だった。小屋の方だったとは!
「女子だけのアルパインは中々いないから、久しぶりにワクワクしました! 本当におめでとうございます」と言ってもらって、こんなに長く山をやっている方にそんな風に言ってもらえるなんて、と皆で感激。
席に着くと遅れた私たちにアツアツのごはんを運んできてくれたスタッフの方にまた感激。
御池小屋ってなんて素敵な小屋なんでしょう。

課題も色々あったけど、お天気も涼しくてバテずにすみ、雨にも降られず、貸し切りの最高に楽しいバットレスでした。
何より皆で計画し、練習してきたプロセスが本当に楽しかったし、皆の知恵が合わさって色んな発見があって、皆と行けて本当によかった。最高の仲間に感謝です。

[メンバー] さわちゃん(L)、ふじ、みほさん、mimi
[山行日] 2024.07.30(火) – 08.01(木)

written by:mimi
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会員は相模原・厚木エリアを中心に、
町田、横浜、大和、座間、海老名、八王子に在住し、
様々な登山ジャンルで活動している地域山岳会です。

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