ヨセミテ記1 Day1-4
1年前のある泊り山行の夜に、ヨセミテの話しが出た。
昔からアメリカの Wilderness(原生地)の雰囲気が大好きで、クライミングを始める前から憧れだったヨセミテ。ごろちゃんがヨセミテで登った話をしてくれて、そんなお金かけなくても行けるし、ルートも選べば大丈夫と言ってくれる。それなら行ってみたい! と1年後に行く目標を立てた。
日程は9月の連休をつないで 11 日間、メンバーはクライミング組4人(純、しんめい、ふじ、mimi)とトレッキング組1名(tam)。
皆それぞれスケジュールや旅費をやり繰りして、城ヶ崎や小川山でクラックを練習し、ルート研究や食糧を計画し・・・ワクワク感 MAX で出発。

概要
日程
9/13(土)~24(水)
アクセス
ヨセミテまでは今回はサンフランシスコ(以下 SF )経由。SF までは直行便で9時間、SF からは車で 5.5 時間(今回の往路)、道が空いてれば 3.5 時間(復路)ほど。
気候
SF は海流のせいかとても寒かったが、ヨセミテは暖かく、昼間は日差しが強く、とても乾燥してるので長いルートやマルチでは熱中症ぎみになることがあった。夜は涼しく快適。
エリア
ヨセミテのクライミングエリアは広大で、北の Northside、南の Southside、西の El Capitan, Cathedrals, Valley West、ハーフドームがある東の Valley East に大別される。今回の旅では Northside と El Cap エリアで登った。

トポ
トポは『ROCK CLIMBING YOSEMITE VALLEY 750 Best Free Routes 2025』の PDF 版を日本で購入。現地で買えると思った印刷版は我々が行った時はまだ販売前だった。岩場までのアクセスは、トポに無いものは Mountain Project というアメリカ版ヤマレコ的サイトを参考にした。
装備
4人でシングルロープ 60m×2、延長用にダブルロープ 60m×2、カムは #4 まで各自。追加で全体で #5,6 を1個ずつ、純さんのみナッツを持参。現地ではカリービレッジのマウンテンショップでもギアの購入が可能。
ルート
ルートは本当にバリエーション豊富。5.5 くらいから星付きルートがあり、5.10 以下の四つ星ルートも豊富で、スキルの未熟な自分でも存分に楽しめた。30m 以上の長いルートも多く、体力が要るのは確かだが、幅広いスキル層や世代が楽しめる懐の深さがヨセミテの良さでもあると思う。グレード感は日本より少し辛めかも。ランナウトや岩が滑ったり、ヨセミテならではの難しさも感じるとこも。
岩質
花崗岩で小川山や瑞牆のようにザラザラした部分も所々あったが、氷河に削られてもっと滑らかな印象。ヨセミテ名物の滑る花崗岩―本当にツルッツルで、緊張するところもある。
プロテクション
ピトンスカーというハーケンを打った跡の溝もあり、トーテムやオフセットのカムがトポではおすすめだったが、確かに効きがとても良かった。今回登ったルートの中では2か所のみ残置ハーケンを見かけた。終了点は今回のショートルートはボルトまたは立ち木、マルチの支点は立ち木、ボルト、カムなど。
Day1 9/13
夜 21 時の便で SF へ。出国前、空港の検査場では手荷物に入れていた少し大きめのライターを没収されてしまった。 100 円ライター1個、またはマッチのどちらか1つなら可とのこと。 (しんめいさんがもっとヤバいものを持ち込んで皆に白い眼で見られていたことはナイショ..w)
今回利用した ZIP AIR は快適だった。食事も別注文なので、寝ているところを起こされないのも良い。 TAKE Movie さんのヨセミテ動画を見たり、トポを見ながらぬくぬく過ごした。
・・・
SF についた! 私は初めての西海岸。
15 時到着なので SF で一泊したが(実際は予定より早く着いた)、フライトもスムーズだったので個人的には当日にヨセミテに移動した方がよかったかな。
夕食はホテルの隣の 24h ダイナーにクオリティは期待せずに入ったら、野菜やフルーツも多く使ったメニューで美味しかった。アメリカの食もヘルシーに変わって来ていることを実感。
Day2 9/14 移動
早朝、レンタカーを借りてヨセミテへ出発。
ドライブは乾いた丘陵地帯が延々と続く。ヨセミテ前にマーセドの Walmart でガス缶を買い、Sprouts Farmers Market というオーガニックマーケットに寄る。ここは天国。オーガニックの野菜やフルーツは本当に美味しかった!!
ヨセミテに入ると山が高くなってきて嬉しくなる。見渡す限りの平野が続くと何だか心もとなく、日本の山と谷の豊かな地形って素敵だなあと改めて思う。迫力の花崗岩が見えてきた!
ヨセミテに入る前に立ち寄った湖のビューポイント(フレモントの砦跡)

ゲートで入園料(7日間で 35 ドル)を支払って Valley(渓谷)へ。
ゲートの職員は、いかにも自然保護区の国立公園のレンジャーという感じの素敵な若者だった。
今回、ヨセミテで前半滞在したのは Housekeeping Camp。
30m 以上ある針葉樹が立ち並び、隣にはマーセド川が流れていて、ハーフドームが見える。ベッドとテーブル、焚火台、熊除けロッカーがあって、寝袋だけ持って行けば泊まれるサイト。
各サイトには、熊除けロッカーが。ヨセミテでは熊を守るために、食糧保管のルールが厳しく定められている。人間の食糧の味を複数回覚えた熊は殺処分されてしまうそう。
私たちのサイトの奥にはマーセド川
荷解きをしてひとまずヨセミテの中心地、Visitor Center へ。
ヨセミテは谷をぐるりと回るメインの道が一方通行で、道を間違えるともう1周しなければならない。 Visitor Center に入る道が分からず3周して、ガソリンが無くなって来た(Ahwahnee Hotel の標識を右に入ればよかったのでした)。Valley に入る前にガソリンは満タンに! とトポにあったけど本当に必要。

Visitor Center は食品、酒、生活用品やキャンプ用品、地図、お土産品等、必要なものは何でも揃う。バラエティも充実してる。アメリカではヨーグルトやバターミルク等、乳製品がとても美味しかった。
帰りに El Capitan を見て興奮。ものすごい迫力、壮観‼︎
たくさんの人が車を停めて撮影していた。 これをフリーソロで登ったアレックスオノルド・・・・本当に人間?!

Day3 9/15 Climbing

初日はアクセスのよい Church Bowl へ。今回行ったルートはアプローチがどこも駐車場から近く、アクセス良好。ここはトイレやピクニックテーブルのある駐車場からすぐに登れる。 岩は小川山のような感じで、キラキラした結晶がたくさんあってとてもきれいだった。
Church Bowl
・Sacrilege Left and Right 5.6 ★★
三日月型の広めのクラック。傾斜が緩いのでアップによい。上は眺めが最高!
・Beshop Terrace 5.8 ★★★★
フレーク沿いにスメアで上がっていく。上の大きなフレークには#5があると安心。前のパーティはフレークでピッチを切っていたが、純さんはクラック上に登った後にクライムダウンして懸垂支点で切っていた。 ヨセミテでクラックを登れることに只々感動・・・

帰りのドライブ中、鹿がゆったり横断するのを皆で見守る姿に、ここが自然保護運動のメッカであることを実感。
Day4 9/16 Climbing
この日も近場の Swan Slab へ。ここもヨセミテの岩に慣れるのに良い岩場らしく、左、右エリア、上部のスワンレイクエリアがある。岩が広大すぎて下からは見えないが、マルチで登ると岩の上部も見ることができた。

Swan Slab
・Penelope’s Problem 5.7 ★★★
出だしがツルツルで滑って落ちた。出だし後はフレークを使って快適に登れる。立木で切る。
・Swan Slab Gully 5.6 3p ★★★★
クラックの練習によい、やさしいルート。2p 登ると、この岩場の2階に出てハーフドームがきれいに見える。2階には新しく短いスラブのボルトルートが並んでいた。歩いても下りれるが、2p 目から 60m 1本で2回の懸垂で降りる。1p 目終了の立ち木までにロープが少しだけ足りなかった。
・Grant’s Crack 5.9 ★★★★
60m ロープにダブルを結んで足して、純さんがトップロープにしてくれた。フィンガーが難しく、足も滑りやすいが、登り甲斐のある良いルート!

Swan Slab Gully 上部より
Swan Slab Gully を私たちが降りた後にはトレーニングなのか、上裸の男子がフリーソロで登り、走って降りて来ては繰り返し登っていた。
この自由な感じ、これぞアメリカよね!
ここでは韓国から来たというガイド組に出会う。日本にも岩とスキーにしょっちゅう来ていて、広沢寺を開拓した方とも知り合いだとか。わいわいと楽しそうな一行でした。
帰りにクライマー御用達のキャンプサイト、Camp4 に立ち寄る。
ヨセミテに来たら絶対見たいと思っていた、「Midnight Lightning」は、Camp4 の中にあった!
実際の岩は結構高さもあって、傾斜もあって手は激悪.. 圧倒される存在感。 数々のレジェンドがトライした歴史あるルート、ここから日本のクライミング史が変わったのかと思うと、とても感慨深かった。

[メンバー] 純(L)、tam、しんめい、ふじ、mimi
[山行日] 2025.09.13(土) – 09.16(火)