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入会について

赤石沢奥壁 Aフランケ赤蜘蛛ルート

 昨年からさんが立ち上げてくれた赤蜘蛛プロジェクト。あの白く大きな壁は写真で見て憧れてはいたものの、アルパイン初級者の私には遠く、目標にすらなっていなかった。不器用なのか、故障で膝が深く曲がらないからかアブミが泣きたいほど下手だったせいもある。昨年はコロナのため七丈小屋が予約できなくなり今年に持ち越しになったので、三ツ峠 逆V字ハングや丸山東壁 緑ルートを練習出来て多少自信がついてから望むことができたので良かったのかもしれない。

 今年の日程も都合や天気でずれて、8/8~10 で何とか参加できることとなった(私は 8/10 が午後から仕事なので 8/9 にアタックして1人でその日に下山予定にした)。
 緊張のあまり珍しく2日間あまり寝られなかったが、8/9 夜明け前に七丈小屋を出発。八合目で夜明けを迎え小屋のお弁当を食べた(お稲荷さん、美味しかった)。八合目の岩小屋から取付きへ下っていくが、やっぱりアプローチは悪かった。フィックスロープや誰が打ち込んだのか枯れ木にハーケンの足場があったが、背の高い人向けで足が届かない所が多かった。また、シーズン初めなのか草が茂っていて踏み跡を隠していた。

[ アプローチ、取付きへ下っていく ]

 今回はさんと会のさんと私の3人で、ロープを結び変えるのも面倒なのでリードは3ピッチずつ交替にした。さんが 1~3P をやりたいとのことなので、私は AA1 を含む 4~6P をやらせてもらえることになった(さんは4回もやっているのでどこでもいいとのことだった)。
  1P 目はハングから始まるが、バランスのいいさんはさらりと登っていく。

[ 1P 目、さらりと上がっていくさん ]

 2~3P 目は綺麗なジェードルが続く。ハンドが効いて楽しい部分もあるが、やはり草が茂っていて支点をかくしてしまっているのが大変そうだった。

[ 2~3P 目、綺麗なジェードルをNさんリード ]

 4P 目、さぁ、私の番だ。ハングを右のフレークから乗越したのは良かったが、草付きの部分がイヤだった。草が茂って足元は見えないし、枝が伸びていて根元でランニングを取るのに苦労した。何とかテラスに上がり、5P 目は木の生えた凹角から。緊張してアブミを落としていたことに全く気が付かずロープであげてもらった。また、今回、クラック用のテーピングをして、大きな腕時計を付けていたのでリーシュに手が絡まってアタフタしていたのもいけなかった。

[ 5P 目、アブミを落としたところを写真に撮られてしまった~ ]

 凹角を回り込むと今度は綺麗なクラックが見えて、思わず声をあげてしまった。
6P 目 40m の AA1 ルートだ!長くて終了点が見えない程で、カムは #0.3~1 を1セットと #0.4 #0.5 #0.75 を使ったが #0.4 と #0. 5 中心(ということは私にとってシンハンド)だった。AA1 は初めてで、当然ながら自分の入れたカムにアブミをかけ全体重を載せ、上段に乗ったら次のカムを入れるの繰り返しで、アブミの距離しか稼げず行程が長く感じた。カムの数にも限りがあるので、ずらした所には長いスリングをかけておいた。時々下を見るとはるか遠くまで垂直で、ここから鳥みたいに飛んでみたいと思っていたが、そうもいかないので地道に進んで行くと最後の 5m 位で疲れがでてきた上に、リング3つの終了点を慎重に作って時間がかかってしまった。リング3つに3人分の体重をかけるのが怖くて、ハンギングビレイでは足を壁に突っ張らないで静荷重になるようにあまり動かず下に吊り下がってビレイしていたため、ちょっと腰にきた。まぁ、何はともあれ無事に自分のリードが終わり、後はベテランのさんにお任せできるのでほっとした。

[ 6P目、AA1 40m 頑張ったけど、時間がかかってしまった ]

2番手になって安心していたが、7P 目 A1 ルートの恐竜カンテを右に出るところで、リングに通してあった白い紐に体重をかけたら、ブチッと音がして 3m 程落ちた。薄汚れた細引きよりはいいかと思ったのは間違いで、さんの上に落ちなかったのが幸いだった(純さんも使ったそうなので体重の差?)。3番手だったさんより下になってしまったので先に行ってもらって、気持ちも萎えてしまったので、できる限りヌンチャクをかけてもらった(それなのに回収したヌンチャクを1本落としてしまい、すみません)。私にとってはこの 7P 目が一番難しかったような気がする。右に出た後、ルート上に危うい枯れ木があって、その上のクラックに私がたまたま持っていた #1 と #2 のカムをさんが入れて登っていった(「強いクライマーと行くと支点をあまりとらないから困るよね」とフォロー2人でつぶやきつつ)。上でさんは私が落ちた後しばらく動かないので怪我をしたかと心配していたらしい(ごめんなさい)。

 8P 目はフェースにボルトが打ってあった。

[ 8P目 ]

 その後のピッチはブッシュと岩が混じっていた。

[ 9~10P ]

 Aフランケ頭の岩小屋へ着くと雨がザァっと降ってきて、濡れたあの悪いアプローチを登って八合目の岩小屋についたのが 17:30。雨は降ったり止んだりしていたが、私は膝の故障があるので慎重にゆっくり降りることにして、2人は先に行ってもらった。私は 18:20 過ぎに小屋に着いたが、この後1人で下山するのもきついので素泊まりさせてもらうことにした(小屋番さんからは遅れるなら連絡を入れて!と怒られましたが、予定時間より大幅に遅れたので心配をかけてしまい申し訳なかったです)。

 翌朝、ぐっすり眠って起きたら 3:50 で、焦りながらも皆を起こさないように4時過ぎに下山開始。と思ったらさんが起きてきて、見送りしてくれました(ありがとう!優しい…)。仕事にはもちろん余裕で間に合いました。

 今回、この赤蜘蛛プロジェクトに参加することが出来てほんとに幸運でした。
そして、強くてカッコイイ、いるだけで安心なさんとアブミが上手でいつも明るくタフなさんと3人でAフランケ赤蜘蛛ルートを登ってこれて本当に良かったです。生涯忘れられない山行になりました。ありがとうございました。

 余談ですが、相模AC 50 周年記念委員から「相模労山ルート」(相模労山の頃に開拓したルート)の写真を撮ってくるようにと言われましたので、アプローチの途中で八丈沢右俣奥壁を撮ってきました(さんからルートの説明をしてもらいつつ)。

[ 八丈沢 右俣奥壁 ]

[メンバー]純(L)、ねこ、非会員(1)
[山行日]2022.08.8(月) – 2022.08.10(水)

written by:ねこ
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会員は相模原・厚木エリアを中心に、
町田、横浜、大和、座間、海老名、八王子に在住し、
様々な登山ジャンルで活動している地域山岳会です。

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