How to Join
入会について

【こだま寄稿】今年の沢から2本

【こだま寄稿】今年の沢から2本
    寄稿:R1000
    2021.02.20

奥只見 北ノ又川白沢

 7月24日 6:45、850m 入渓点。上信越の谷 105 ルートでは初級との紹介。確かに入り口は優美な景色。美景の小さなゴルジュを抜け、景色を楽しみながら行けるかな、と思ってたりしていた。と、こ、ろ、が、現れた F1 は全く手が出ない垂直の滝。支沢との間に巻道を見付けて滝上に出るも、早くもイヤな予感。この後しばらくは小滝の連続。難しくはないけれども削がれる様に時間が掛かる。標高がなかなか稼げない。中盤に入ると、滝の高さが少し大きくなってくる。クライム自体も難度が上がってくる。カムやナッツを効かせながら超えていく。この地域では初級って意味なのかねぇ、などとボヤキともつかない会話を交わしながらジリジリと遡行を続ける。ここは、どーやって登んだ、などとあーだこーだと言いながら、とにかく前に進まない事には帰れない。あっと言う間にお昼を過ぎ、もう下降などはできない。1200m 辺りから雪渓が現れ始めた。雪の上をトコトコ歩いて行ければ楽だけど、すぐにクレバスが出てくるので、面倒くさい草付きの巻きになったりしてなかなか標高が上がらない。天気も悪いなぁ。詰めの稜線は 1740m。まだまだ遠い。飽きる程に小滝が続き、ようやく源流の景色になってきた時には、もう夕方。やっとの思いで藪を抜けて百草ノ池に着いたのは 17:40。ここからもう一登りして避難小屋に辿り着いたのが 19:15。いやいやお疲れ様でした。

 翌日、越後駒ケ岳の山頂を往復して下山。なんとかお天気が持ってくれて、それなりの景色が見られたので、めでたしめでたし。それにしても標高差 900m を 11 時間掛けての遡行。体力気力勝負の沢でした。これで初級かいな。



ユウトムラウシ川

 8月12日 6:00 入渓。予定では前日に入渓であったけど、天候不良のため延期。むさ苦しいオトコ共4人で帯広方面に観光しに行ったりしてたのです。1日遅れで入渓。お天気はすっきりしない曇り空。川原の石は玄武岩。黒い。空もどんより曇り空。出だしの雰囲気が暗い。結構倒木が多くて陰惨な感じ。う~む、気が重くなる。それでも、10 時頃から薄日が差し始めてきて、ようやく気持ちが上向きに。魚影が濃く、オショロコマがたくさん泳いでいる。良さそうなポイントで、みんなで竿を出すと全然スレていないので、自分みたいな素人の針にも掛かってくれたお魚さんがいました。ありがとう、今晩の夕飯の大事なおかずです。ただ、この沢ゴム底が全くグリップせず、ただ歩くだけでも滑る滑る。相当ツライ事になってしまいました。

 沢と言うより川の本流を遡って行くので、前半部は全く滝は無い。中盤頃から滝が出始め、1255m で 15m 2段。この後にナメ滝 10m。1300m で 15m 大滝。四角い感じの立派な形をしている。ここで唯一ロープを出す。時間は 15 時過ぎ。そろそろ何時頃に天場を探すかメンバーからリクエスト。あと1時間くらい登って幕営する事にした。ここから谷が狭まり沢らしくなってきた。いい場所を見付けないとなぁ。小滝が続くようになり、沢登りらしくなってきた。それにしてもゴム底がグリップしない。疲れるなぁ。それはそうと、そろそろ時間。翌日も長いので、なるべく標高を稼ぎたいけど、欲張ると天場適地は無くなってしまう。この辺りの見極めが難しいところ。16:00 1425m。2テン×2張 4人分の丁度良い場所を見付けた。今日はここで終了。釣り上げたオショロコマを捌き、焚火を起こして塩焼きにして頂く。

 13日 5:30 出発。お天気は相変わらずすっきりしない。地形はすぐに源流部の雰囲気に。なので、天場適地も無し。昨日の場所が最後の天場でした。

 1500m 辺りで、少し残雪。最後に 10m の滝が出てきて沢は終わり。高層湿原に変わった。植生を踏みつけたくないので、できるだけ水流の中を歩いた。とは言えさすがに水が冷たいので、途中でギブアップしたり。ネットの記録を見ると、大体は途中で左に寄って稜線に出ているようだけど、とにかく源流を目指して水流を辿る。水が涸れたところから、灌木帯に突入。藪漕ぎに泣きが入りながらようやく抜けて、登山道に出た。稜線に出ると風が吹いている。お天気が良くないので風が冷たい。身体が冷える。こんな状況で、低体温症の事故がおきたのかなぁ、なんて事を考えながらトムラウシ山の山頂へ。

 無事に山頂を踏んで下山開始。自分は膝が悪くて下山が遅いので、かみ~やとふたちんに先行してもらって、車を取りに行ってもらい、とんちゃんにエスコートしてもらって近い方の登山口に向かった。それにしてもここの登山道、ぬかるみがひどかった。

 登山口に着いた頃にちょうど車が迎えに来てくれて、無事に山行終了。下山して温泉に浸かり、宿を探し当てて、夕食を居酒屋で摂り、一杯飲っていい気持ち。楽しい北海道の旅でした




(了)

月を選択

会員は相模原・厚木エリアを中心に、
町田、横浜、大和、座間、海老名、八王子に在住し、
様々な登山ジャンルで活動している地域山岳会です。

ページのトップへ戻る