大台ヶ原 中ノ瀑(中ノ滝)
端午の節句 人登る
中ノ瀑(中ノ滝)を初めて観たのは、2年前の GW 沢山行「東ノ川本流・シオカラ谷」を遡行した時だ。その時は、谷筋から真上に見上げる西ノ滝の直瀑に圧倒され、中ノ滝にはあまり注目が集まらなかった。中ノ滝は、傾斜のある下部が邪魔をして落ち口までの全貌をシオカラ谷の本流から見なかったからかもしれない。
西ノ滝にはデシマル・グレードのマルチピッチのルートがあるが、今回は優しいグレードのルートのある中ノ滝の登攀の機会が訪れた。
中ノ滝は「西大台利用調整地区」に含まれている。そのため、2日前に大台ヶ原に着いたときに朝一番でレクチャーを受けた。口頭での説明からビデオに変更されて担当者の負担が軽減されたとのこと。
ビデオ講習風景
中ノ滝登攀は堂倉谷本谷遡行から、大台ヶ原「心・湯治館」で急遽前泊してから継続、1名は足の親指の爪の不調で西大台のハイキングに変更、4名で大滝に向かった。
シオカラ谷の吊橋を渡って直ぐの廃道「滝見コース」の始まりの踏み後を ton さんが気付いたが、私は下調べ不足のため滝見尾根の Co1470m まで登山道を登り、滝見尾根を下るコース取りをした。尾根を下降するに従って木製階段を固定していたと思われる逆U字型に埋められた鉄杭や階段跡が現れてきた。
尾根途中の滝見台で、西ノ滝・中ノ滝を見た。これから登ると思うと高く見えた。
西ノ滝と中ノ滝
滝見台の3人、背景に中ノ滝
シオカラ谷の入渓箇所付近の3か所程に鉄の鎖がぶら下がっていた。丹沢の沢でも所々で見かける往時の名残だ。入渓時に1名が沢靴に履き替え小休止、他は沢靴のままのアプローチ。中ノ滝下流のゴーロ帯を取付きまで上がり登攀の身支度をした。乾いた岩壁は登攀力に応じて色々とルートが選べるが傾斜の緩い右手からの開始となった。
中ノ滝を見上げる
下段 70m(9:05~)は、1P目Wさん、2P目は私、3P目Wさんのリードで登った。4P目は歩き。
下段 1P目をリードするWさん
下段 3P目をフォローする ton さん
中の段にはプールがあり、小休止。天気も快晴、水浴びしたいところだったが、中段・上段を見上げるとまだまだ先は長い、長い休憩時間をとれない。
中の段のプール
中の段の3人、中段 60m を背景
次の中段 60m(12:15~)は、1P目ガッツさん、2P目Wさんのリードで登ったが時間が掛かった。今回選択したルートでの登攀パートの核心となった。
中段 1P目をリードするガッツさんとビレイヤーWさん
中段 2P目をフォローする私
最後の上段 100m(14:30~)は、落ち口への直上ルートは難しく人数も多く時間が掛かるために避け、灌木帯から落ち口へ抜けるルートを選択した。1P目私、2P目ガッツさんと ton さん、3~5P目Wさんリード。
上段 100m
上段 2P目以降の灌木帯に入ってからの落ち口へのルート・ファインディングが迷走状態。時間がかかりこのパートが時間とメンタルとの闘いで核心となった。「ビバークだ!」との不安気な声も上がった。ここは平常心を保ち、落ち口へ抜ける最後の 10m 程のピッチを、Wさんリードで3ヵ所目のトライでルートを見つけた。日没目前だった。
落ち口への最後の 10m トラーバス入り口、
ギリギリまで進まないと先のルートが見えない
夕闇迫る落ち口
ラストの ton さん
落ち口からは中ノ谷を遡行予定であったが、ヘッデンでの遡行は厳しいので落ち口から大台ケ原へ延びる尾根を辿って大台ケ原Pへ戻った。
今回の全員初見での登攀は、グレードは易し目でしたが、飯豊や朝日の記録の乏しい沢の遡行に似て、メンタル面で面白かった。
[メンバー] しんめい(L)、ガッツ、ton(元会員)、W(非会員)
[山行日] 2024.05.05(日)
[コースタイム] 大台ヶ原P[5:50]~シオカラ谷吊橋[6:15]~Co1470滝見尾根[6:22/6:39]~東ノ川入渓[8:12/8:20]~中ノ滝下取付き[8:37]~登攀~中ノ滝落ち口[19:41/20:00]~大台ヶ原P[21:40]