赤蜘蛛ルート本番
先発隊が 8/8~10 にトライして見事に完登した甲斐駒ヶ岳赤石沢ダイヤモンドAフランケにある『赤蜘蛛ルート』。
先発隊がアップしてくれたブログにもある通り、昨年、純さんが立ち上げてくれたプロジェクトでその最終的な目標が赤蜘蛛ルートでした。
プロジェクト参加当初は赤石沢奥壁も、ましてや赤蜘蛛も知らないレベル。 クライミングを始めてやっと丸1年経過したかな?程度でしたから、三ツ峠が全てだと思っていたくらい(笑)
なので、調べれば調べるほど難しいルートと分かり行ってみたいとは思ったが、行けるとは思わなかった。
当初 7/31~8/2 の予定で組まれていた赤蜘蛛本番。その直前、筆者がコロナ罹患により単独断念…
その後、天候不順により 8/8~10 に延期変更されたが、病み上がりの身体と 10日間も離職していた状況から参加は厳しく不参加の意向を示していたところ、赤蜘蛛トライメンバーの UTi さんと純さんの計らいにより、別日程で行けることになった🎶
この進言をしてくれた UTi さんに本当に感謝です。
日程を 9/9~12 の4日間の内3日間と設定し、天候をみて出発日を最終判断するとしていたが、超大型台風の影響で山行自体がポシャる可能性もあったが、関東周辺への上陸はなく、その影響による前線にヤキモキする程度。
最終的には 10日出発、11日アタック、12日下山日となった。
9月10日
神社で安全祈願のお参りをして、出発。
初日は七丈小屋テン場まで上がるだけだが、やっぱり黒戸尾根はキツい…。
到着時、第一テン場はいっぱい、仕方なく第二まで上がり幕営。
受付時に買ったビールで明日の天気と登攀成功を祈って乾杯。
各自持参した夕食(自分は冷凍ねぎとろとアルファ米でねぎとろ丼、これは旨かった)を食べて、早めの就寝とした。
9月11日
アタック当日の簡単な実施スケジュールは以下
4:00 起床
4:40 出発
5:10 御来迎場
6:50 取付き着
7:20 登攀開始
15:20 登攀終了
16:50 テン場着
起床前から山頂へ向かう方たちの話し声や足音が聞こえていたが、目覚ましが鳴るまでシュラフに包まれ、鳴った直後から動き出す。
お湯を沸かし、朝食をとり、準備を整え、テントから出て、アタックザックを背負い出発。
東の空が赤く染まり始め、頭上を見ると雲もなく快晴の予感。
御来迎場からすぐのところで一般道から逸れ八合目岩小屋を確認後、取付きを目指し下っていくが、途中、取付き方面とAフランケの頭の岩小屋方面との分岐を岩小屋方面に行き、岩小屋(赤蜘蛛ルート終了点)を確認してから、取付きへ向かった。
事前情報通り、取付きまでのアプローチは踏み跡が明瞭なものの(一部不明瞭もあったが)急な勾配で気を使った。また、FIX ロープも多数ありそれほど迷う箇所は少なかった。
Aフランケ基部に到着し、下から見上げる大岩壁はまさに圧巻。
染み出しが有る部分と無い部分が模様のようになり、美しさも兼ねそろえている。
その一部を登攀することができる喜びが緊張へと繋がる。
1ピッチ目:UTi さんリード
スタート前、2ピン目にチョンボ棒が届くか試してみたが、ちょい届かず。素直に1ピン目からスタート。5m ほど上がったところで「疲れるなぁ~」と呟きが聞こえたが、順調に登っていった。
続いて自分もスタートしたが、5m 程あがったところでアブミを落としてしまった。。。
その旨を UTi さんに伝え降ろしてもらって回収、再スタート。
2ピッチ目:しんごリード
トポを確認すると 40m のコーナークラック。
クラックが苦手な自分としては 1P 目よりも緊張した。途中のテラスでクラックグローブを着用したが、緊張感は拭いきれないが安心感は増した。
3ピッチ目:UTi さん
2ピッチ目が 40m とされていたため、その言葉通り中間にあったビレイ点をパスしたが、3ピッチ目はその分短くなってしまい、あっと言う間に終わってしまった。
4ピッチ目:しんご
V字ハングを左から越えたあと、右を見るとボルトラダーがあり 3m 程あがるとスラブ地帯に出たが、ボルトが見つからず右往左往。結果、スラブに出たあとに直上せず、右斜めの若干岩が露出していて草も少ないところにボルトを1本見つかり、そこから上がり大テラスに到着しましたが、若干ランアウトすることと、終了点の木は枯れ木なので注意が必要です。
大テラスで休憩・・・。
5ピッチ目:UTi さん
枯れ木の右側奥からスタート。木を使いながら離陸し、凹角のクラックを使い高度を稼ぐ。しばらくすると核心ピッチが見えた。
6ピッチ目:しんご
見上げるときれいに切り取られたかのような垂壁とクラックが見れる。
AA1 ルートには最初4ピンほどボルトがあり、その上からアメリカンエイド(カムエイド)になるが所々にボルトが打たれているため、持参したカムを温存できる。
が、そのボルトもアブミ最上段で届くかどうかの微妙な位置に打たれて(残されて?)あるため、カムエイドで登りボルトにかけたアブミに移りカムを回収する動作を何度かおこなった。終了点は恐竜カンテ越え前にリングボルトが3本打たれていたビレイ点でハンギングビレイ。
と、こんな感じで作文していると大事なこと事を書き忘れていた。
・・・1ピッチ目に続き、またアブミ落としてしまいました。。。
15m 程あがったところで、何となく遠くで金属音が聞こえたが、そのままスルーして上がろうと思いアブミを探すと無い。まさかと思い下を見ると落ちていた。
ビレイしている UTi さんに落とした旨を伝え、降ろしてもらい回収した。
落とした 1P、6P ともに幸いにしてアブミを回収することが出来たが、回収できない場合は持参した予備のアブミ(5mm 細引きで作成した物)であがることとなるが、一度も試用していなかったので、不安が残り回収よりも大きなタイムロスに繋がったのではないかと思う。
7ピッチ目:UTi さん
恐竜カンテを越えたところに木があるが、いつ折れてもおかしくないほどの枯れ具合。この木を頼りにしたいが荷重した拍子に折れてフォールはしたくないので変な気の使い方をしたら、疲れている身体が更に疲れた気がした。このピッチも意外といやらしく難しかった。
8ピッチ目:しんご
A1、フリー、木を上手く使いながら登る。この頃には核心ピッチをクリアした安堵感と、グレード的には難しくないピッチなため、よく覚えていない。
9ピッチ目:UTi さん
8ピッチ目の終了点を木でおこなっており、その木を越えてからは優しい感じ。
ビレイ無し、ランナー無しで行けるだろうと判断した UTi さんが 10m 程上がると、やっぱりビレイしてと、声が掛かった。フォローで上がるとビレイ、ランナー無しは危ない区間があった。
10ピッチ目:しんご
赤蜘蛛ルートの最終ピッチ。9ピッチ目で登攀は終了しているため、ブッシュ帯を歩きAフランケ頭の岩小屋で終了。
UTi さんが上がってきたところで、お疲れ様でしたの握手をして無事完登。
今回で赤蜘蛛 PT は最終回を迎えた。
このプロジェクトは、昨年4月にエイドクライミング技術継承とエイドルートとして有名な赤蜘蛛を最終目標として純さんが立ち上げてくれたもので、数回の練習を行ってから、昨年中に赤蜘蛛をトライ・完登で終了される予定だったのだが、予定メンバーの都合がつかず持ち越し、今年の同時期に技術継承の場も含め再始動されました。
昨年、三ツ峠,城山にて3回の練習日が設けられ、今年は三ツ峠と黒部丸山の緑ルート。
それ以外にも、個人的に三ツ峠、瑞牆山大ヤスリ岩、広沢寺の大ハングなどで練習してきた。「満を持して」と、まではいかないが、その意気で臨んだ本番は、エイド技術だけではなくアルパイン要素たっぷりでとても疲弊はしたが、終始楽しめた山行でした。
共同登攀装備:
カム(#0.3~#1)2組(0.4,0.5 各1本と#2 1本追加#2は不使用)、50m ロープ2本、ヌンチャク16本、アルヌン4本
[メンバー] Uti、しんご
[山行日] 2022.09.10(土) – 09.12(月)