一ノ倉沢衝立岩中央稜
2年前、純さんとねこさんに一ノ倉へ連れていってもらったことがある。
あの頃はまだアルパインクライミングが何なのか解ってもおらず、マルチピッチのことをアルパインクライミングだと思っていたくらいド素人だった。
あの時はロープがスタックし、雨に降られ、懸垂下降で先行パーティーに待たされてしまい散々な目に遭い、21時過ぎの下山になってしまい皆に心配をかけてしまった。
純さん、ねこさんがいるからと安心しきっていた自分がいたことは明らかで、 思い返せば一ノ倉へ行っても良いレベルではなかったことは明白だった。
その時、同じ思いをしたまりさんからふくいちさんと一ノ倉へ行くが、 一緒に行かないかとの話を頂いた。
一ノ倉へ行ける。
それだけでも魅力だが、ベテランと行かず同等の力量の仲間のみで行く。
まさに近いうちにやってみたいと考えていた山行。
計画は2泊3日で中央稜と南稜の2ルートを登攀するというもの。
まり、ふくいち、しんご。お互いそれぞれとはザイルを組んだ事はあるものの、3人で組んだことはなく事前に練習が必要ということで、越沢バットレスで練習をした。
不安の残るまま本番を望むことはあり得ないためいろいろと話しをした。
本番を迎えたが、天気予報は微妙。
中止にするほどではなかったため現地に向かったが雨は続いていたが、 駐車場で仮眠し翌朝出発する頃には路面も乾いていた。
一ノ倉。
あの威圧感と神々しい山容は、他に類を見ないと改めて思う。
2年前に比べると雪は少なく、出合から 10 分程度は右岸を歩いた。
雪渓は安定しており問題なく歩くことができた(軽アイゼンは装着)
テールリッジ取付きへの移行も問題なかった。
初日は南稜を予定していたが、前日の雨を考慮し乾きやすいであろう中央稜に予定を変更。 先行パーティーは既に南稜に取り付いており、中央稜は終始貸し切りだった。
1ピッチ目(まり)
左上するピッチ。特に難しくはないが、その日初めてのクライミングのため慎重に登った。
2ピッチ目(ふくいち)
トポには 25m とあり、左へ巻いてから登るが 25m もなさそうだった
3ピッチ目(しんご)
2ピッチ目終了点から右に巻くはずがそのまま直上してしまい、クライムダウンをよぎなくされた。右巻きのトラバースは結構いやらしかった記憶がある
4ピッチ目(まり)
終了点なのか懸垂点なのか不透明なところでピッチを切ってしまい、核心のチムニーを逃してしまう
5ピッチ目(ふくいち)
トポではⅢ級となっているのだが、Ⅲ級じゃないよなぁ~と登っていたらしい。そりゃそうだルート上の一番難しく美味しいところを予定外に登らされているのだからw
6ピッチ目(しんご)
トポ上は5ピッチ目の凹上のフェース。濡れた岩と草付き。支点も少なくちょっと嫌だった。
7ピッチ目(まり)
トポ上は6ピッチ目。この先難しい箇所は無さそうだが雲行きが怪しい、また支点が少なくなってきていることも踏まえここまでにした。出来れば衝立の頭まで行き北稜から下山したかったが、迷いそうなのと後続パーティーがいないため同ルートから降りることにした。
本来ならば最終ピッチまで行って登り切ったと言えるのだろうが、安全と翌日のことも考慮したのは間違った判断ではないと思っている。
出合のトイレまで下山したのは午後2時。
持参した酒で乾杯しようと話していたが、ふくいちさんが車にワインを忘れたと言って片道 40 分を歩いて取りに行った。
が、車の中にはワインは無く、実はザックの最下層に入っていたw
そのネタをつまみに美味しいワインを飲み、翌日に備えた。
翌朝、3時起床。
霧雨でテントも路面もビチョビチョ。
こりゃ岩も濡れてるわ~と言って、2度寝。
4時再起床。
南稜へ行く予定の隣のパーティーは出発した。
幽の沢予定のパーティーも出発した。
準備を済ませ、6時前に自分たちも出発したが、気温も低く岩が乾きそうな気配はゼロ。
テールリッジのスラブへ着くと、南稜予定のパーティーが停滞していた。
7時まで様子を見て判断するとのこと。自分たちも携帯の電波が入るとことまで行き、
予報を見たが 10 時頃から雨が降る予報だったため撤退判断をした。
下山して帰り支度をしていると、晴れてきてしまった。
下山あるあるであーる。
このまま帰るのも勿体ないので幽の沢まで散歩した。
幽の沢へ行ったパーティーも撤退してきていたため、ちょっと見てみたい気もあったので。
今回の山行は、人に頼る山行ではなく自分たちだけで行くアルパイン本番だったため、自分の成長を感じられる山行だった。
今回は行けなかった南稜及び幽の沢も含め、またチャレンジしたい。
[メンバー] しんご(L)、まり、ふくいち
[山行日] 2022.05.20(土) – 05.21(日)