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【こだま】2023年 12月


もくじ
・こだま寄稿
   八重山諸島の思い出(miyuki)
   私の大峯奥駈道(後編) ―2021年10月19日~10月24日の記録― (maa3)
   ・12月の例会
・新規掲載の山行ブログ


【こだま寄稿】八重山諸島の思い出
 寄稿:miyuki
 2023.12.27

八重山諸島とは沖縄本島から南西へ約 400km のところに位置する、石垣島を含めたその周辺の島々のことを総称して指します。
青い空、青い海、白い砂浜、ジャングルの植物が島を覆い、のんびりと流れる島時間に身をゆだねながら、おばぁの食堂で八重山そばを食べ、夜は三線の音色と共にカチャーシーを踊る。そんななんとも言えない魅力に取りつかれ、一時期は毎年毎年、今年はこの島、来年はあの島、というふうに八重山の島々に通っていました。

そんな魅力いっぱいの八重山で、何と言っても一番素晴らしいのは海なのですが、私は泳ぎが苦手で、私にとって溺れて死ぬ確率は山で滑落して死ぬ確率の比ではないと思っていて、大昔に勢いでスキューバダイビングのライセンスを取得した時にその思いは確実なものとなり、一生海に入らなくてもいいと思ってしまったほど海は怖い存在でした。
しかし私と違い夫のほうは海が得意で、そして、スキューバーのように重い機材を背負い決まりやルールの中で潜るよりも、フィンとシュノーケルで自由自在に泳ぎまわる素潜り派。当然、海に入ってどこまでもいつまでも泳ぎ続け、そして当然のように私も一緒に泳げるようにとシュノーケル、フィン、ウェットスーツなど一式揃える羽目になったのです。

「フィンさえあればどこまでも泳げる」、夫はそう言って、本当にどこまでも深く、どこまでも遠くに泳いで行ってしまうのですが、私はフィンを着けたところでぜんぜんダメなので、速攻ライフジャケットを購入して潜ることは諦め、水面にプカプカ浮いているのみ。それでも、これで沈まない、という安心感で、こんな私でも海を楽しめるようになったのです。

珊瑚礁の海はまさに竜宮城。
青や黄色の小さい魚の群れが楽しそうにゆらゆら、映画のニモがイソギンチャクの中から顔を出している! イカやウミヘビが目の前をスイスイ横切っていく。

何十年も生きてきて、初めて見る別世界に感動しました。地球にはまだ見たことがない世界が広がっている!
当時は、ビーチから泳いでいっても、すぐに珊瑚礁があり、私たちはジャングルをくぐり抜け、ガイドブックにはない浜を見つけてはそこで潜ったりのんびりしたり、貝殻を拾ったりと、贅沢な時間を過ごす旅を繰り返しました。

しかし、だんだんと気持ちが山に向くようになると、休みを山に費やすようになり、八重山からは足が遠のいて十数年が経過…。

3年ほど前に、またあの空気に浸りたい、そんな気持ちで再び訪れた八重山諸島。
しかし、ほんの十数年で私達の知っている八重山諸島は姿を変えていました。
自分達の(と勝手に思っていた)珊瑚礁の海はなくなっていて、海の中はただ砂が広がっているだけ、珊瑚は白化し魚達も姿を消していました。
おばぁの食堂は残っていたけれど営業はしておらず、代わりにおしゃれなカフェが出来ていました。有名なリゾートホテルが建ち、私達が知っていた島は姿を変えてしまった。
「そばにのっている海藻は、おばぁが今朝浜で取ってきたんだよ」と話しながら食べさせてもらったその海藻は、砂利が入っていて注意しながら食べないと歯が心配でした。
おばぁはあの時にすでにおばぁだったので、食堂が閉まってしまうのは無理もないとは思いつつ、もうあのそばを食べることは出来ないんだなぁとさみしさでいっぱいになりました。

温暖化のせいなのか、人間が開発を進めてしまうせいなのか、私達を含め観光客が押し寄せてしまうせいなのか、何が原因なのか、すべてが原因なのかわからないけれど、ほんの十数年ですっかり姿を変えてしまった八重山。
自然が壊れるのはあっという間です。
せめて今残っている自然が、山も海も、すべての自然が残っていきますようにと祈るばかりです。

(了)


【こだま寄稿】私の大峯奥駈道(後編) ―2021年10月19日~10月24日の記録―
 元会員からの寄稿:maa3
 2023.08.18

2022年2月執筆

 昨年(2020年10月17日~24日)、吉野から入山して熊野本宮大社まで(逆峯)大峯奥駈道をいっきに踏破しようとプランするも実際に入山してみて、自分の体力のなさを思い知らされた。また不幸にも2日間、風雨が続いて深仙小屋(じんせんこや)に足止めとなり、太古ノ辻から前鬼へと予定を切り上げての下山を余儀なくされた。

 さて後編のアプローチであるが、大和上市駅から前鬼口まで1日1便のバスで約2時間、そこから舗装道路を小仲坊まで3時間、さらに太古ノ辻まで2時間半の登りとなる。常識的には初日は小仲坊で1泊するのが順当と思われた。

 もう一つのアクセスとして太尾登山口がある。ここからだと先の前鬼より歩行時間の節約になるが、太尾登山口までは大和八木駅からバスとタクシーを利用しての入山となるが、タクシー代金がなんと 15,000 円弱と高額なため何度となく逡巡したが、前編で体力の無さを思い知ったので体力的に楽な太尾登山口から入山することに決定する。

期間:2021年10月19日(火)~10月24日(日)
目的:大峯奥駈道縦走;太尾登山口~熊野本宮大社
メンバー:単独

[太尾登山口~熊野本宮大社]

2021年10月19日(火) くもり  出発の晩は、雨こそ降っていなかったが曇天で予報も芳しくないスタートとなった。またコロナ禍にあって、夜行バスは感染が気になっていたが他に選択肢がないので覚悟を決めて昨年同様に YCAT から乗車する。
 バスは予定どおり午後 11時10分に出発し、奈良駅には翌朝6時20分に到着した。

太尾登山口から深仙小屋まで

2021年10月20日(水) 晴れ後風強し
 不慣れな関西の鉄道であったが当初予定していた車両には乗車せず難波行きの別の車両に乗車した。難波方面に行きさえすれば大和八木駅に到着するだろうと甘い考えをしていたところ相当な遠回りをさせられて桜井経由でなんとか事なきを得た。幸いに大和八木駅からは 9:15 発の奈良交通(新宮行き)バスにはまだ間があった。
 大和八木駅からは上記のバスに乗車して旭橋バス停まで約2時間45分の長時間乗車となる。旭橋からは予め予約しておいたタクシーと合流し、40分ほどで太尾登山口に到着した。タクシー代は、営業所まで返る料金までチャージされ、14,460 円も支払うことになった。
 複数の仲間と入山するときはあまり意識していなかったが、このような時、ソロ登山は異常に金が掛かることを思い知らされた。  タクシーを降りると、天気は良好だが多少風が強く吹いていた。地元のボランティアが清掃をしてくれているという綺麗なトイレを借用させていただき出発する。

[太尾登山口とトイレ]

 すでに 13:00 を過ぎていた。予想していたことではあるが、このまま“天狗の稽古場”のテン場まで行くと午後6時を回ってしまうが、手前に適当なテン場があるかは不明。午後6時といえば既に日が暮れて真っ暗になってしまうはずだ。その中でテントを設営するのも時間が掛かってしまうだろう。またスマホの電源も思ったより消耗している。そんなことを考えていると今日はスマホの充電もできる深仙小屋に泊まるのがベストと、心の中では既に決まっていた。
 登山口から支尾根を P1465m まで登る間、下山してくる数名の登山者と遭遇した。駐車場に止まっていた5~6台ほどの車の登山者が釈迦ケ岳をピストンしてきたのだろう。
 吉田の森を越えてから登山道の右側に注意をしていると、白い看板が目に入った。ここから右斜め前方に緩く下る踏み跡程度の道が続いている。これが深仙小屋への近道だ。昨年、釈迦ケ岳から下山してきたので記憶に新しいが、注意していないと通り過ぎてしまいそうで目立たないので注意すること。
 水場は看板の場所から更に 50m ほど上がったところにある。水量は昨年より若干少ない気はしたが問題のない量の水が勢いよく流れ出ていた。ここで水を 3, 4L 補給して看板のあるところまで引き返して深仙小屋へと急ぐ。釈迦ケ岳は昨年登頂しているので今回はパス。

[深仙小屋をバックに]

[深仙小屋の朝]

[嫁越峠]

 小屋はすでに先行者が1名いた。行仙の小屋からやってきたとのこと。健脚である。この頃から風が更に強くなってきた。明日の朝までに弱くなってくれないと出発も危ぶまれるような強さの風である。寝袋に入ってからもしばらく落ち着かなかった。

深仙小屋から転法輪岳へ

2021年10月21日(木) 曇り後晴れ
 翌朝は 4:30 に起床し 6:00 前に小屋を後にした。心配していた風はなく嘘のように穏やかな晴天である。前日は大した行動も無かったので気力・体力も十分で快調そのもの。
 大日岳分岐を過ぎ、昨年前鬼へと下山した太古ノ辻を経て、石楠花岳、天狗山を越えて奥守岳、そして嫁越峠へと順調に歩を進める。地蔵岳の登りは急であるが 20分ほどで天狗の稽古場の草地に着き、テント設営適地であることを確認した。

 昨日、深仙の小屋に 3:30 に着いて、そこから更にこのテンバまでは日がとっぷりと暮れてしまったことだろう。深仙の小屋に泊まって良かったと思った。

 嫁越峠を越えて地蔵岳(子守岳)から般若岳(滝川辻)、そして涅槃岳までは結構なアルバイトで、到着は 11:30 前になってしまった。小休止と写真撮影などして 12:00 前に出発。

[涅槃岳]

[持経千年桧]

 すぐにヒメシャラが両脇に立ち並ぶ登山道を下山すると、25分ほどで 1,301m の証誠無漏岳に到着する。ここは南西に顕著な尾根が伸びていて、間違いやすいので要注意箇所だ。南南東へと続く尾根道に入り阿須迦利岳までの途中、岩場をトラバース気味に通過する箇所や鎖場があるが大したこともなく過ぎ去ると、やがて持経ノ宿へ到着する。
 小屋は営業しているようで数人の登山者が小屋の前で立ち話をしていた。軽く会釈をしてそのまま通り過ぎた。予定では行仙小屋まで進むつもりだったのでまだまだ頑張ろうと考えていた。
 やがてビバーク候補地の一つであった“持経千年桧”が現れた。さすがに大きい!
さらに 40分ほど進むと平治ノ宿に到着するも、ここまで既に8時間半ほど歩いていて疲労感は否めない。

[平治ノ宿]

 この小屋は小綺麗に整理整頓されていて今のところ宿泊者は居ないようだ。いくつかのポリタンに水が常備されていたので 1L ほど失敬させていただく。泊まろうか否か自問自答しているうちに 30分ほど経過してしまった。少し休んだせいか、ここはいま少しでも先に進むべきと考え安易な気持ちに鞭を打って小屋を後にした。大した登りではないが 30分ほど登って転法輪岳山頂に至る。テント設営の適地を探してみるも適した場所を見つけられず更に 30分ほど進むと午後4時近くなり夕闇が迫る時間となったため、登山道の脇に強引にテントを設営してその日の宿とした。思ったより平坦で快適に一夜を過ごすことができたのはラッキーであった。本日の行動時間は約 10時間。

(続く)


【12月の例会】

日時:12月13日 19:30~21:15
場所:相模原市大野南公民館
出席:mimi(司会)、ふくいち(議事録)、なべさん、純、みず、tam、しんめい、たけ、ねこ、Kimi、koji、ガッツ、Tatsu、まり、UTi、もん、miyuki、kany、みなちゃん、コッシー(20名)
見学:3名

例会後の懇親会(忘年会)


【新規掲載の山行ブログ】

◆ 2023.10.22     徳島のシンボル剣山 (Kimi)
◆ 2023.11.11     歩荷訓練 (セレナ)
◆ 2023.12.16     (No.33) 冬のモロクボ沢 (Tatsu)
◆ 2023.12.16 – 12.17  雪訓改め アイス改め 一般 PH… (しんご)
◆ 2023.12.17     雪訓改め 宝永山 PH・・・ (しんめい)


おわり

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会員は相模原・厚木エリアを中心に、
町田、横浜、大和、座間、海老名、八王子に在住し、
様々な登山ジャンルで活動している地域山岳会です。

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