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【こだま】2021年 11月


もくじ
・こだま寄稿
   御前岩
・11月の例会
・新規掲載の山行ブログ


【こだま寄稿】御前岩
 寄稿:かず
 2021.11.26

その昔、フリークライミングに明け暮れていた若かりし頃、奥多摩に大きな岩場があると聞いた。1987年に発表された御前岩がそれだ。しかし、駐車場等の問題でその後間もなく登攀禁止となり、僕にとっては行けなかった幻の岩場となった。その後、長い年月が流れ、山からもフリークライミングからも離れていった僕の記憶から、御前岩の名前は消えていった・・・。

さらに長い年月が流れ、またぼちぼち山登りを始めていた頃、2017年ロクスノのwinter issueで、「御前岩ふたたび」の見出しとともに御前岩のルートを登る平山ユージの姿が表紙を飾った。あの御前岩がまた登れるようになったんだ!懐かしさも相俟って、思わずロクスノを買って記事を貪り読んだ。御前岩の復活には関係者のなみなみならぬ情熱と努力があったそうだ。しかし、その当時、本格的なフリークライミングから離れ、情熱も冷めていた僕には、もはや心情的にも技術的にも御前岩はハードルが高く、懐かしい岩場以上には至らなかった。

近年は、山歩き、アルパイン、沢、雪山を中心に活動していたものの、フリークライミングに興味がなかった訳ではなかった。しかし、新エリア以外は、どこに行っても昔登ったルートばかりで、しかもそんなルートも今では全然登れない。。。がんばって登っても所詮は再登ばかり。昔やり残した宿題をこなすには、それなりの努力が必要なのも知っている。またそこまでがんばるのか、、、なかなかフリークライミングへのモチベーションが上がらない。。

そんな折、ジムで偶然、昔一緒にフリークライミングにのめり込んでいた仲間に出会った。彼とはよく、小川山、二子、城ケ崎、城山、有笠、鳳来とあちこちのエリアに一緒に登りに行ったものだ。昔よく通った岩場やクライミングの昔話に話は弾んだ。聞くと、僕がフリークライミングから離れた後も彼はフリークライミングを続けていて、14辺りを登るまでになっていたとか。その後、フリークライミングから10年くらい離れていて、2年程前に再開し、ダイエット、トレーニングなどして、今では13台を登るそうだ。彼と昔話をしたり一緒に登ったり、最近の会の若手のクライミング熱にも触発されて、少しずつだがフリークライミングへのモチベーションも高まっていった。

そんなある日、彼から御前岩に行こうと誘われた。先月、骨折した足から金属の棒を抜く手術をしたところでリハビリ中ではあったが、幻の御前岩を見てみたい気持ちもあったし、トポにある入山条件についても、昔だけど11は普通にリードできたからまあいいだろう、ということで、半ば見学気分で、ついにあの御前岩に行ってみることにした。

奥多摩駅を越えて日原街道の奥へ。幻だったあの御前岩はとにかくデカかった。。エリアに入ってすぐの正面のエレファントロック東面の壁の圧倒的な高さ、かぶったカンテの挑戦的なライン。二子に勝るとも劣らない圧倒的な高さの壁だった。最も長いラインはなんと30mもある!奥多摩にこんなデカイ壁があったんだ、、感動すら覚える。とてつもなく高い壁にコルネが発達した東面、のっぺりして弱点が少なく、国内最難ルートを擁する北面、短めだが傾斜が強くボルダーチックなルートが多い南面、垂直だがテクニカルそうなルートが多いドラゴンロック、いろいろな顔を持った岩がある。

ここは高難度のルートばかりなこともあり、フリークライミング専門で、かつモチベーションが高いクライマーが多い。長いルートを攻める人、ロングフォールしても何度も何度も核心ムーブにトライする人、御前岩は昔通った二子や城ケ崎シーサイドを彷彿とさせる独特の熱気を帯びていた。彼らの熱気あふれるトライを見ていて、自分もあのワントライ、あの核心のワンムーブに賭けて登っていたあの頃の気持ちを思い出した。

と、あの頃の気持ちは思い出しても、なまり切ったカラダでは当然登れる訳もなく、、、御前岩の最低グレードのミートテック6b(10b/c)すら持久力なく登れず、数回のトライでヘロヘロになりながら何とかクリア。次にトライしたハートブレイク6c+(11b/c)は、トップアウトこそできるものの通して登れるイメージなど全く湧かない。。ここの岩場の多くのクライマーは、ハートブレイクをアップで軽々と登っているのに。。。質の高い、いいルートは、ムーブができるか、だけでなく、筋力、持久力、体幹、ムーブ選択の素早い判断力、レスト技術、パンプに耐えてムーブを起こし、ランナウトに耐える精神力、どこでクリップしてどこでレストするかなどの戦略、などなどいろいろな要素が問われる。御前岩は、今の僕にはそのどれもが足りていないことをまざまざと見せつけてきた。。くそーぉ、くやしい。。。

山々に囲まれた奥多摩の日没は早い。パンパンにパンプした腕で帰り支度をしてザックを背負い、御前岩を振り返った。あざ笑うかのように立ちはだかる大きな壁。今日はコテンパンにやられたけど次は登ってやる!夕闇が降り始めた御前岩を見上げると、登れないくやしさとともに、その昔、仲間とフリークライミングに明け暮れたあの頃の熱い想いが鮮明に蘇ってきた。

(了)


【11月の例会】

日時:11月17日 19:30~21:30
場所:相模原市大野南公民館
出席:ケンタ(司会)、史一(議事録)、なべさん、純、みず、KuriG、たまのり、しんめい、かず、ton、たけ、佐和ちゃん、Kimi、koji、しんご、ガッツ、Tatsu、みほさん、mimi、UTi、ゆかりん(21名)
見学:4名

例会後の懇親会


【新規掲載の山行ブログ】

◆ 2021.10.10   横岳西壁 (ケンタ)
◆ 2021.10.31   紅葉の小川山 (しんご)
◆ 2021.11.06   瑞牆大ヤスリ岩 (しんご)
◆ 2021.11.07   人生2度目 & 初めての歩荷訓練 (Tatsu、みほさん)
◆ 2021.11.12   湯河原幕岩 茅ヶ崎ロック (mimi)


おわり

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会員は相模原・厚木エリアを中心に、
町田、横浜、大和、座間、海老名、八王子に在住し、
様々な登山ジャンルで活動している地域山岳会です。

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