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入会について

横岳西壁

早朝美濃戸に駐車して北沢の登山道を赤岳鉱泉に入りました。無雪期は本当に久しぶりで、美濃戸口からガタガタな林道を運転したのも、アプローチシューズで北沢の赤い沢筋を歩いたのもなんだか新鮮です。赤岳鉱泉のテン場は朝8時から大賑わいです。案外でこぼこで適地は積雪期よりむしろ少ないかな、それでもなんとか設営して、大同心稜に向かいました。大同心稜は取付き直後から森林限界付近までなんだか頭がくらくらするような急登が続き、始まったばかりの紅葉になんとか励まされて、それでも1時間ほどで目の前に威圧的に咆哮する大同心の基部に到達します。

みずさん写真撮っているところ)

(森林限界越えて右に小同心)

右バンドに入ってから少し下がったバンドを更にトラバースして(初見だとやや分かり難いかも)草付きを下降、適当なところで今度は左上して小同心クラックの基部に到達しました。ガスが湧き上がりはじめて小寒くなってきましたが雨の心配はありません。

(大同心基部)

みずさん左上中)

(小同心取付き)

1ピッチ目/ケンタリード、正面の緩いフェースを15mほど上がって(支点ない)、被り気味の凹角を直上して、30mロープが出た付近のハンガーボルトx2の支点まで。

(1ピッチ目フェース)

みずさんフォロー)

2ピッチ目/みず、左上方の残置ハーケンに行くがこれは間違いで右にトラバースして凹角に入り直して、これを直上、30~35mでやはりハンガーボルトx2の支点まで。

みずさんリード)

3ピッチ目/ケンタ、被っている正面の岩から左にトラバース気味にムーブしてから素直に直上、かなりランナウトして、20mで小同心の頭手前のハンガーボルトx2の支点まで。ここからコンテで横岳山頂直下目まで。途中振り返ると小同心は双耳峰で登って来たのは向かって右になります。

(小同心の頭)

(振り返ると小同心の頭は2つ)

4ピッチ目/みず、ゆるい傾斜でしたが念のためカムで支点を取りながら登山者多い山頂へ。このころには天候も回復して暑いような感じ、登山者に交じってゆっくり休憩して、硫黄岳経由で赤岳鉱泉のテンバに戻りました。


(みずさんリードx2)

ルートは体がすっぽりと入る凹角が多く登りやすかったものの、やはり岩は脆くてひとつのホールドに頼るような状態は避けました。ガスが切れると絶景で、眼下の樹林帯や沢筋、横岳の峰々と八ヶ岳連峰が見渡せる快適なクライミングとなりました。

前夜はあまり寒くならず熟睡して計画通りに5時半にテン場を出発しました。中山乗越からは明確な踏み跡があって途中消失していまいますが、尾根のやや右がわを倒木や小ギャップを乗り越えて進むと、広かった中山尾根は収れんして1時間ほどで森林限界を越え下部岩壁手前のやせ尾根に着きました。下部岩壁が無雪期でもかなり威圧的に迫っています。ここでギアを取り出し登攀の準備をしました(なお、足元はかなり不安定で、一旦森林限界付近まで戻って準備すべきでした)。

(尾根上部、木々の間から下部岩壁)

(下部岩壁、威圧的)

1ピッチ目/ケンタリード、正面フェースを10~15mほど上がって(支点x2)、被り気味の凹角を直上し、突き当ったら左側の小カンテをエイッと乗り越して左上、30mロープが出た付近のハンガーボルトx2の支点まで。冬場は全般的にかなり緊張するでしょう。

(ハンガーボルトx2)

みずさんフォロー)

2ピッチ目/みず、左にトラバースして残置ハーケンに支点を取ってから草付きを直上、冬場はたぶん凍っているので少し楽かな、途中の灌木でも支点が取れ、急斜面を抜けた灌木まで。

(まばらな灌木帯)

下部岩壁を終了してから、やせ尾根を150~200mコンテとしました。両サイドはかなり切れ落ちています。また尾根自体は岩と土のミックスのグズグズで、本来はきれいは雪稜になって最も楽しいところでしょうが、この時期はかえって核心かもしれません。登るにつれて展望が開けます。

(右に赤岳)

中山尾根を見下ろす)

3ピッチ目/ケンタ、上部岩壁スタートです。少し右に回り込んで凹角気味フェースを左上、一旦傾斜が緩み、その先の凹角ハングを越えます(冬季核心)。途中スタンスがなくスメアリングしましたがアイゼンだとかなり難しくなりそうです。

みずさんフォローで乗り越すところ)

4ピッチ目/みず。5ピッチ目/ケンタ。6ピッチ目/みず、最後の岩場があります。ここは右上して被り気味の左面小カンテを1-2歩大股で乗り上がると、上方の展望が開けて、トサカ岩が左から迫ってきます。

(左上にトサカ岩)

7ピッチ目/ケンタ、日ノ岳山頂に向かう左ルンゼには行かず右トラバースを選択して登山道に達しました。

(基部トラバース)

(登山道に出るところ)

登山者が賑やかに行き交っていました。いつの間にか晴れて、また霧雨も混じっていて虹がかかっていました。地蔵尾根をゆっくり下って、テントを畳んで帰路に着きました。

(うっすら虹)

冬手袋+アイゼン+日の当らない寒空になると下部岩壁1ピッチ目と上部岩壁の被った凹角はかなり緊張すると感じました。また中山尾根はトレースがないとアプローチ敗退もありそう。しっかりとした防風対策も含め課題が見えた山行になりました。

[メンバー] ケンタ(L)、みず
[山行日] 2021.10.09(土) – 10.10(日)

written by:ケンタ
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会員は相模原・厚木エリアを中心に、
町田、横浜、大和、座間、海老名、八王子に在住し、
様々な登山ジャンルで活動している地域山岳会です。

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