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初めての海外縦走登山
(In New Zealand)

 ひょんな偶然が重なりニュージーランド (NZL) の海外登山へ。最後に海外渡航したのが、流行り病が起こる前だったので、実に4年以上ぶりの海外渡航。海外の山岳レースやデイハイクで登山自体は何度もやってきたが、山中で山小屋泊するのは今回が初。時期的にも NZL 辺りの登山が良いシーズンだったので、NZL の登山で有名な Great Walk へ行くことにした。その中でも距離の長い Kepler Track(60km) とその近くにある Routeburn Track(32km) を選択。本当は Milford Track(53.5km) も行ってみたかったが、人気高さ故の山小屋泊が既に満員となっているかつ、山小屋泊しないとコースに入ることもできない規制もかかっているため、こちらは断念することに。また機会があれば行ってみたいルート。山小屋の予約取りはかなりシビアらしいので、本気で行く気があるなら予約開始された時に取ってしまうのが良いらしい。この辺りは日本の山小屋も同様か。あとはガイドツアーで行く手もあるが、個人的に好きではない。

 登山スタイルはワンウェイの Routeburn Track を踏破する関係上、旅行荷物は可能な限り軽くコンパクトスタイルにするため、普段の旅行スタイルであるバックパッカーの軽量バージョンを採用。それでも登山食料を詰めてしまうと総重量は 15kg を軽く越えてしまうわけだが、荷物と一緒に各地を転々とする旅スタイルは学生時代以来からいつやっても面白いと感じてしまう。道中行く先々のホステルのキッチンを利用して手軽なハンバーガーやサンドウィッチなどの携帯保存できる食事を作るのも何年ぶり以来だったか、かなり懐かしいものがあった。今回は歩きだし、時間もあるしで、全荷物担いで登山するくらいは一種の縛りプレイなゲーム感覚で挑戦することにした。

 観光では最長期間の2週間に及ぶ NZL 旅でしたが、多くの山々やトレッキングルートがあって実に面白く、素晴らしいところだったと現地に訪れてみて改めて実感。物価高(昨今の円安含めて)なのがネックですが、是非また訪れてみたいところの1つ。現地で購入した山地図アプリを確認して、トレッキングルートがこんなにあるとは正直思わなかった…。今回は登山が絡んだ旅でしたが、久々に国外へ出てみて、心身共に良い刺激を受けたと同時に、旅道中で色々と至らなかったことも山ほど発見できたので、次の海外登山旅に繋がるように対策もしておきたい。

1.Kepler Track

 初日は小雨が降っていたが、天候回復する予報だったので予定通り行動することにした。テ・アナウ湖畔にあるビジターセンターから湖畔沿いにブロッド・ベイまで平坦な樹林帯歩きで、そこから本格的な登りが開始される。特に特徴の樹林帯歩きなので特に足を止めることはほとんどなかったが、保護区域ということもあってか、野鳥保護のためにオコジョ等の捕食動物を捕らえる罠が至るところに仕掛けられてあった。そこそこな急な登りを上がっていくとライムストーン・ロックという石灰岩でできた岩壁沿いに沿って行く。高さは 15~20m 弱あろうか岩の上部が多少ハング形状となっていた。岩壁沿いの経路はシングルトラックでやや狭い。最終的には岩の上部へ上がる必要があったが、そこには設置された木段(少し急)がある。更に上ると樹林帯から一気に解放されて、遮るものが何もない解放感ある稜線に出る。雲の隙間から最高点の Mt.Luxmore(1472m) が見ることができて、良いタイミングで来ることができたなと思えた。初日はスタートから約 18km 先の Luxmore Hut(イギリス英語の山小屋を Hut と呼ぶ)で終了なので、半日程度で活動終了。そこから暇を持て余したので、近くの Luxmore Cave で洞窟探検や小屋周辺を散策しながら時間潰しつつ、同じく宿泊するハイカーと雑談して過ごした。残念ながら日本人は一人もおらず。寝床は二段ベットスタイルでマットは山小屋のものを使わせてくれるので、寝具は寝袋だけ持参すれば大丈夫なシステム。とはいえ、何があっていいようにエアマットを携帯してきたが、マットが優秀だったのでこれは使わずに済んだ。食事は Back Country 製のフリーズドライを現地調達したので、早速試食してみたが日本のフリーズドライより断然旨かった。個人的な一押しは Classic Beef Curry で、中身の牛肉がしっかりしているので、思った以上に食が進んだ。お湯は規定量より多く入れるとスープカレーっぽくなるが、お湯不足でパサパサな部分を食べるくらいならお湯をマシマシにしておいた方が良いと感じた。

 2日目は 35km 以上歩く必要があったので、朝一番に出発。道中で追い抜くハイカーが一人もいなかったので多分自分が一番早かったと思う。朝一は少し雲が厚かったので小雨だったが、山頂に着く頃には雲が薄くなり、景観も良くなってきた。山頂以降の稜線歩きは全周囲見渡せる眺望が常にあり、おまけに傾斜も緩いので、ひたすら楽に歩かせてくれた。道中の Shelter では KEA(ミヤマオウム)が何羽かいて、独特の鳴き声と休憩中にこちらへ寄ってくるくらいに好奇心旺盛という変わった特徴をもつ。油断すると色んなものを持っていかれるので、いたずら好きオウムとも揶揄されているそう。素晴らしい眺望の稜線から下ると再び樹林帯へ入る。トラックの半分くらいに位置する Iris Burn Hut は当初一番予約したかった場所だったが、残念ながら満員だったので、この先の Moturau Hut まで進む計画となった。Iris Burn Hut 以降はほとんど平坦歩きなので、体力的には苦行ではなかった。精神的には苦行だったが…。平坦歩きは見通しの良い区間もあって景観の変化は多少あったが、基本的に変化しないことの方が多かったので、ほとんど黙々と歩いていた。ひたすら Iris Burn(河川)沿いを下っていくと Lake Manapouri に出てくる。初見だと海に湾内に見えなくもないが、れっきとした湖。湖畔沿いに進んで Moturau Hut に着く。ここまでおよそ 55km で、あと 20km 弱平坦歩きすれば1周できてしまうので、歩きでも2日周回が成立するのではないかと思ってしまった。この日は着いたのが最後の方だったので、良い位置の空いているベッドが全て埋まってしまっていた。今更だが、山小屋のベッド位置は早い者勝ちスタイル。

 3日目はもはや消化試合形式だったので、昼前までにスタート地点まで行って無事終了。後半は特徴がほとんど無いので、退屈してしまうことが多かったが、累積が距離に対して少ないため、体力に不安がある人でも1周は時間をかければ容易いルートだと感じた。次回があるなら1日で周回踏破に挑んでみたい。

初日の稜線へ出た時の青空と Mt.Luxmore の頂。ここに来た時は思わず「おぉ!」って声が出ました。

洞窟探検。ヘッドライトで照らしてどんどん奥へ行けるものの、かなり狭かった。

Mt.Luxmore の頂から見た眺望。雲が多少かかりましたが、テ・アナウ湖と集落を一望できました。

どこまでも続いていきそうな稜線歩き。更に起伏の少なさが多くの人を呼び込む魅力かもしれない。

Moturau Hut で2羽の KEA がお出迎え。テーブルを占拠している野鳥を初めて見た。

2.Routeburn Track

 このトラックはワンウェイ構成なので、起点と終点での移動手段確保が必要になってくる。車でアプローチする人も多いがそれだとワンウェイが成立しないため、起点と終点共にバスを予約した。起点はテ・アナウ集落から車で約1時間かかるディバイドとし、終点はグレノーキー集落から約 30 分かかるルートバーンシェルターとした。ガイド本だと逆方向ルートを解説していたが、ワンウェイ登山後は次の行き先であるクィーンズタウンへ直接行きたい思惑もあったため、ガイド本とは逆方向とした。こちらは次の移動も兼ねていたので、悪天候だと面倒な展開になってしまうことが唯一の懸念だったが、幸い天候は曇り時々晴れで済みそうだったので、問題なく踏破することができた。距離自体は 33km 程度であるものの、累積がそれなりなので、それなりのアップダウンがあるトラックだった。このトラック上の山小屋も大変な人気らしく、なんとか予約できたのは、最後の山小屋である Routeburn Flat Hut(約 25km)。道中の展望箇所を寄り道すると 35km 弱に及んだ。寄り道箇所は Key Summit 918m と Conical Hill 1515m の2か所で、Key Summit は曇り空だったので、眺望はあまり良くなかったが、Conical Hill の方は良い眺望を拝むことができた。全体的にトラバース路が多く、沢筋を跨ぐ事(橋が設置)が多かったが、中盤にかけて Earland Falls (落差 174m)の滝を横切り、後半はひたすら眺望の良いトラバースが続き、更に Conical Hill への岩登りもあったので、個人的にはこのルートは飽きが少なくて一番面白いルートだと感じた。

Key Summit の散策路を一望。ガイドツアーの需要が高いらしい。

Earland Falls。落差 174m とのことだが、100m 越えはどれもひたすら大きい…。

Lake Mackenzie。遠目からだと独特な水の色だというのがよく分かる。

Conical Hill からの Lake Harris。ここから湖畔を右に迂回して谷筋に沿って奥へ進んでいく。

KEA を始め、NZL の野鳥はなんか人に対してフレンドリーな感じがしました。

[メンバー] Tatsu
[山行日] 2024.02.07(水) – 02.09(火)、2024.02.12(月) – 02.13(火)

written by:Tatsu
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会員は相模原・厚木エリアを中心に、
町田、横浜、大和、座間、海老名、八王子に在住し、
様々な登山ジャンルで活動している地域山岳会です。

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