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気分は孤高の人 in 北鎌尾根

「北鎌尾根に行く!」と思ったのは、約1年前に大槍に初めて登った時にあり得ない所から登ってくる人達を見たところから全てが始まった。北鎌尾根を登って来る人達の姿がまさにクライマーそのものだったため、北鎌にはクライミングのスキルは必須なのかーと思い、これがクライミング世界への第一歩となった。結果的にクライミングのスキルは必要としなかったものの登攀スキルは大いに役に立ったのと、去年の力量では北鎌尾根を越えられなかったと強く感じた。半年近くクライミング練習してきて本当に良かった!

今回の山行は自身の力が100%活きる単独行で挑戦。単独行そのものは慣れたものであったが、今回ばかりは不安が尽きない北鎌尾根だったので、リスクを可能な限り取らず、かつ最速で山行を終了できる装備を考えなければならなかった。色々と試行錯誤を重ねた上で以下のような装備ラインナップとなった。

<対北鎌尾根装備一覧> 全積載量:約11㎏、ベース重量:約6㎏
〇主要装備
・ザック:OMM Phantom25
・ヘルメット:Black Diamond Vision Helmet
・テント:Heritage CROSSOVER DOME 2
・シュラフ:Mont-Bell アルパインダウンハガー800 #5
・シュラフカバー:SOL エスケイプヴィヴィ
・マット:THERMAREST Neo Air X lite S
・ドライパック:SEA To SUMMIT eVACドライザックXL(35L)
・エア枕:SEA TO SUMMITエアロウルトラライトピロー (レギュラー)
・レインウェア上:Mont-bell トレントフライヤー ジャケット
・レインウェア下:Mont-bell トレントフライヤー パンツ
・調理器具:JET BOIL
・手袋:Mont-bell メリノウールグローブ
・帽子:Halo ソーラースカルキャップ
・グラス:Mont-bell シールドグラス
・靴:La Sportiva(ラ スポルティバ)  トラバースX TXガイド
〇他装備
・待機用着替え
・ウィンドシェル
・コンパス
・ココヘリ
・紙地図
・ハンドライト
・ヘッドライト
・時計(高度計測可)
・ファーストエイドキット(自作)
・ソフトボトル:Platypus 1L ×2
・熊鈴
・市販ペットボトル500ml×2
・バフ
・予備バッテリー(容量:5,000mA)
・行動食
・食料(一日目の昼と夜、二日目の朝)

全積載量になると登りで多少動きにくさを感じるが、岩登りに対して支障はないレベルだった。行動食含めて全て使い切るつもりでいたが、下山ルート上の山小屋で食事が可能だったので、存分に利用させてもらった。

約1年ぶりの観光地。何度来てもこの景色は変わらずで、天候は予想よりも恵まれていた。



ババ平(槍沢キャンプ場)までは高速コース。駆けだしていきたくなるほどの緩やかさ。
コース序盤では猿の群れが出迎えてくれました。


大曲で水俣乗越に上がるはずがなぜかバリエーションルート勘違いしたのか別の沢を遡上してしまう。戻らずにトラバースで合流できないか模索したが、低木に覆われていてコース修正ができなかったため、来た道を戻って大曲に向かう。


北鎌尾根へのバリエーションルート起点で有名な水俣乗越。この裏が北鎌尾根への入口。

天上沢への下りは急斜面のザレ場で足だけ立つことができないので、木の枝などに手すりにしながら慎重に下った。涸れ沢の右手につづら折りの下りがあったのでこれを有効活用。


標高2100mほどで小規模な雪渓地帯。チェーンスパイク持参していなくて内心面倒なことになったな~と思いながらも側面のガレ場に沿って先に進んだ。スパイク使えばここはもっと早く抜けられたかも。

涸れ沢は浮石が多く、足を置く石を選ぶ必要があったが、ここら辺はサクサク進むことができた。途中でケルンや赤テープなどがあるが、念のため地図を確認しながら進んだ。


北鎌沢の入り口は周囲をよく見て入れば結構分かり易かったが、何も考えずに進んでいると通り過ぎる可能性があるため、こまめに地図はチェック推奨。一応、目印になるケルンもあった。


間違うと大変なことになる北鎌沢の右俣と左俣の分岐。水が沢山流れている方が左俣。左俣が駄目だと事前情報を得ていれば、ここで間違うことはないはず。

標高約2000mまで水が流れていたので、ここらで持てる限りの水を積んだ。前日の大雨のせいか2300mまで水が流れていたので、補給しながら進む。

北鎌沢を真っすぐ直登する場合は多少の岩登りをする必要があるため、注意が必要。特に一番傾斜のきつい終盤で足を滑らすと重大事故案件になりかねないレベル。

北鎌沢の傾斜ぶりに翻弄されながらも北鎌のコルに無事到着し、キャンプ設営完了。明日の予報では悪い天気ではなかったので、あとは北鎌尾根進むのみ。


夜間に大雨が降ったけど、夜明け前は良い天気になっていました。これなら問題なく北鎌尾根を踏破できる。以下の写真は表銀座尾根。

天狗の腰掛(2750m)までは草とハイマツが絡んだ急登。さらに草に残っていた水滴で全身がびしょ濡れ。履いていた靴も雨天時のような濡れ具合になり、気持ちが若干萎えました。


最難関?と言われる独標の登り。トラバース路に有名なFIXロープあり。今回はトラバース路を選択。


トラバース路の途中から早い段階で尾根上に上がりたいと思い、多少難度が高い岩壁を登って上へ上へと登ったら、登る予定がなかった独標方面へ上がっていた。以下、槍ヶ岳を横目で見ながら、独標への斜面を登っていた写真。

独標の頂には野営できそうな平らな草むらスペースがあり。

独標から北鎌尾根終点の槍ヶ岳が臨むことができた。まだ先は長い・・・

北鎌平までの小ピーク群はルーファイ含め登り降りも大変。先の展開への想像力が何よりも大事なのと、足場とホールド確保に対する集中力。まさに少しの油断が命取り。


懸垂用の残置支点がいくつかあったので、ロープを持参していると楽に下ることができそう。


北鎌平への登り。進行右側に巻き道があるが、最終的に登ることになるため、ここは潔く登攀。


北鎌平でレリーフを発見。後少し。槍ヶ岳もだいぶ近づいてきた。


残る難所は山頂詰め部分のチムニー個所のみ。

有名なチムニー。右迂回で難度は落とせるが、ここは直登。

チムニーを登った後で見下ろすと登攀してきたな~という感じ。

ようやく山頂いるハイカー見えて、北鎌尾根もようやく終わり。

無事に北鎌尾根の単独縦走完了!


あとは見慣れた安心な登山道で上高地まで戻って山行完了。


[メンバー]Tatsu(L)
[山行日] 2021.07.31(土) – 08.01(日)

written by:Tatsu
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会員は相模原・厚木エリアを中心に、
町田、横浜、大和、座間、海老名、八王子に在住し、
様々な登山ジャンルで活動している地域山岳会です。

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